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堺IPC PRESS 2024.1 Vol.70

PICKUP!

他社との差別化や社員のモチベーションにつながるオリジナル商品。

自社独自のノウハウや技術をいかに活かすか、そのヒントを探りました。

株式会社結一産業

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現場の小さな不満を社員の新しい発想で解決するものづくり 

代表取締役松本 良生

建築用副資材の開発・製造を手掛ける株式会社結一産業。建設現場で聞き出したリアルな"お困りごと"を解決するソリューション型ものづくりで急成長を遂げています。製品の約80%が自社オリジナルだという同社のものづくりへの思いなどを伺いました。

既製品の改良から始まった自社独自の製品づくり

「本当にカタチにしてきてくれたんだ」と建設現場の人たちから感動と感謝の言葉を掛けられることが嬉しいと松本良生社長。1992年に創業した時から「存在理由のある企業」を目指して自社独自のものづくりを目指してきたと言います。
「とは言っても、最初は何を作ればいいかわからず、前職で樹脂製品を取り扱っていた知識を活かしブルーシートなどの養生資材や工事現場作業用品などを販売していました。そうしたなかで既製品に改良を加えることからスタートしたのです」。
他の真似ではないオリジナルをという強い思いは2003年に法人化した折に命名した「結一産業」という社名にも表れています。音楽ビジネスの先駆け的存在だった「ユイ音楽工房」や農村で互いに助け合った共同体「結」、そして「唯一」に通ずる言葉として名付けられたのだとか。
2014年に中国に心強い協力会社を得た事が、現場からヒントを得たアイデアを製品化する上で大きな強みとなりました。さらに7年前、同社のオリジナル製品のラインナップが一気に拡大する転機が訪れます。

品揃え豊富な倉庫から出荷される製品の数々。
現場に強い企業をパートナーに一気に拡大させた自社製品

「7年前に建設現場に強い日建株式会社とパートナーシップを結びました。同社は建築金物や建材、木材などの配送を通して建設現場に深く入り込んでおり、日建の社員に同行することで、現場の声を多く聞けるようになったのです」。
面白いのは、その声もすぐに具体的な製品に結びつくものではなく、松本社長いわく「雪だるまの芯のようなもの」だといいます。小さな不満、不便を誰かが聞きだしたら、他の現場で何人にも同じことをヒアリングして回ることで開発の精度を上げるのだとか。「建設現場といってもマンションか工場か物流倉庫かで、また同じマンションでも中層か高層かで作業用品は異なってきます。以前にお一人の方の声だけで製品を作って大量の在庫を抱え込むという失敗もありました」。
そうしてこれまでに誕生した製品は、休憩時などで着脱するフルハーネスとヘルメットを掛けておける安全ラックや、玉掛け作業時の安全確保のために国が推奨する「333運動」(吊り荷から3m離れて、地切り30㎝で一旦停止、3秒間停止して確認)をわかりやすく補助する「333運動介錯用ロープ」など、約600アイテムに上ります。なかでも松本社長が最も思い入れを持っているのは、「タイヤ付きフレコンスタンド 台ゴローDX」です。
「現場の産業廃棄物を保管・運搬するのに使用するフレキシブルコンテナバッグを移動させる台車のタイヤが現場の土に食い込んで動かず困っているということでした。そのお困り事を解決するために台車の形状やタイヤを付ける位置で試行錯誤を繰り返し、製品化までに1年以上を費やしました。その甲斐あって、『うちでも取り扱わせて欲しい』という電話を大手通販会社などからたくさんいただきましたし、得意先の反応も変わりましたね。新しい発想でものづくりすることの優位性を強く実感し、当社はこれで変わると確信できた記念すべき製品です」。

営業ミーティングで出たさまざまな意見を製品に反映。
将来の上場を目指し社員がワクワクできる企業へ

順調に成長するなかで松本社長はさらに、米国の経営書『ビジョナリー・カンパニー』の中で説かれている「時代を超えて際立った存在であり続ける企業」であるための3つのポイント「社員がワクワク楽しいと思える仕事」「利益を確保」「No.1になる」を実践すべく動き始めました。
「それまでの製品づくりは私が主導していましたが、それでは社員たちがワクワクしない。社員自らが製品づくりに関わる会社を目指すことにしたのです。まず営業部は開発営業部と名称を変え、製造の現場を学ぶために中国の協力会社へ研修に出したりもしています。さらに週に1回、経営やマーケティングを学ぶ勉強会を開いています。参加は自由ですが、最初は数人だったのが今では十数人が参加しています」。
将来的には、取り扱い商品を100%自社ブランド「YUYPRO」のみにしたいと語る松本社長。今年には持株会社化を予定しており、今日大手プロショップなどに押されて廃業を余儀なくさせられている建設用品関連企業とさらにパートナーシップを結んで、上場を目指す考えです。

できあがった試作品のチェックも営業の大切な仕事のひとつ。

経営のキモ

【特集:企業のターニングポイント】
7年前に建設現場に強い企業とパートナーシップを結ぶことで、オリジナル製品が一気に拡大する転機が訪れました。今後も、現場の要望やお困り事など生の声を吸い上げ、開発の精度を上げることで、100%自社ブランド化を目指されています。

株式会社結一産業

代表者名 松本 良生
本社 堺市北区南花田町403-6
TEL 072-251-3504
設立 1992年創業 2003年設立
資本金 1,000万円
従業員数 24名
事業内容

建築副資材の開発・販売

ホームページ https://yuy.co.jp/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=3423

株式会社エイワット

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求められた以上に価値を加えたいそれがエンジニアとしてのこだわり

代表取締役 柴田 政明

サステナブルな社会を実現するエネルギーをと早くから再生可能エネルギー事業を展開

1972年に金属機械加工会社として創業。高精度なものづくりが求められる原子力発電の関連施設にも関わっていましたが、2代目の柴田政明社長が次世代にツケを回さない新たなエネルギーはないかとデンマークやドイツなどを視察。太陽光や風力、水力といった再生可能エネルギー事業をスタートさせました。1999年のことです。
「日本の政策もまだ再生可能エネルギーに目が向けられておらず大変でしたが、民間企業とともに自然エネルギーの促進に努めてきました」。
政府開発援助のパブアニューギニア自然エネルギープロジェクトでは、自然エネルギーを使った電源開発に携わり、日本の山間部や過疎地域における「エネルギーの地産地消」の可能性に向けて事業も立ち上げています。
その一つが、わずかな水量の河川にも対応する「マイクロ水力発電」です。2011年度の経済産業省「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」で大阪府立大学(当時)と共同開発した高効率トルネードタービンにより、5mという低落差での発電を可能にしました。このマイクロ水力発電の実用化に向け、ものづくりを主導するエンジニアとして柴田社長が期待したのが製造・開発部マネージャーの尾崎雅洋さんです。

最新機器の3Dスキャナーを導入し、難易度の高い製品も生産できるように。
少しの落差でも発電を行うマイクロ水力発電の実用化に一役

エンジニアとしての長いキャリアを誇る尾崎さんの同社への入社は2014年です。
「サポイン事業の目的は、5軸加工などの最先端加工技術の高度化で、私はそれを実際のものづくりに落とし込む役割を担うはずでした。しかし、製造部門が正式に立ち上がったのは昨年4月で、私は研究開発に携わってきました。マイクロ水力発電については流体シミュレーション技術で効率的に設計し、工場敷地内に設けた実験設備で水流実証実験を繰り返した結果、製品の最適化を実現できました」。
尾崎さんにとって同社はどのような会社なのかという問いには「AIから農業まで驚くほど多岐にわたる領域で事業を展開し、常に技術の探求をしています。そこで私たち技術者も、経験を生かした治具の提案から製作、またはリバースエンジニアリングで、どんな複雑なものでもお客様からのご要望にお応えしています」と答えています。

平成28年、「堺市ものづくり新事業チャレンジ支援補助金」の助成を受け敷地内に作ったマイクロ水力発電の実験装置。
テレビ番組の風車づくりもサポート若い世代にものづくりの喜びを伝えたい

そうした尾崎さんの印象に残っている案件は、男性アイドルグループが新宿のビルの屋上にビオトープを作ったテレビ番組で水を循環させるための風車づくりをサポートしたことです。出演者たちが自力で作るのを指導するプロ集団として番組にも登場しました。
「どこも引き受ける会社がなく、最後に紹介を経て当社に話がありました。話を聞けば、放送日が2週間後だというので、翌週には図面を持って行きましたよ(笑)」。2年後には、無人島開拓編で巨大風車も設計しています。
現在は、同社も参画する「計測誤差を1/5以下にできる洋上風況観測浮体ブイ向け低動揺プラットフォーム開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構の2023年度「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」として採択され取り組んでいるところです。
学校への出前授業や大学生の卒業研究の支援にも力を惜しまない尾崎さん。「課題解決につながるものづくりの喜びを多くの若い人に知ってほしい」と考えています。

2023年10月、北海道で開催された「エネルギーEXPO」で、同社の新規事業を紹介。
各自意見を出し合い、得意先の高い要望に応え続けている同社。

経営のキモ

【「採る」ことよりも「育てる」ことを大切に】
いくら採用しても定着しなければ意味がありません。教える文化がなかなか根付かず、現在は外部の専門家に委託して、内定後のインターンシップや新入社員のための研修制度などを導入。育てることに注力しています。当社は「社員が幸せになるためのプラットフォーム」でありたいと考えています。

株式会社エイワット

代表者名 柴田 政明
本社 堺市美原区多治井20-1
TEL 072-362-3329
設立 1972年創業 1976年設立
資本金
従業員数 30名
事業内容

太陽光・風力・水力発電などの自然エネルギーの開発・設計・施工・O&Mなど

ホームページ https://eiwat.co.jp/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=762

笠井商会

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オーダーメイドの医療用ガーゼで高い専門性を発揮 

笠井 健功

手術などで使われる特殊な医療用ガーゼに特化して製造販売を行なっている笠井商会。きめ細かい要望にも応えるオーダーメイドが多くの医療現場で高く評価されています。豊富なノウハウと高い技術力で、最近では口腔(こうくう)内清掃用商品を開発しました。

医療用ガーゼの製造販売で競争力を強化

創業は約60年前の1964年。当初は衛生材料の販売から始まったといいます。2代目である笠井貞夫現社長が入社した時に製造も手掛けていこうと縫製技術を習得。衛生材料の販売とあわせてガーゼハンカチの製造・販売を始めたということです。
やがて、ガーゼ生地の販売だけでなく縫製もできると知った配送先の病院から、医療用ガーゼを作ってほしいという要望を受けたのが、今日の事業につながっています。しばらくはガーゼハンカチと医療用ガーゼの両方を製造していましたが、まもなく競争力の高い医療用に特化していきました。
「医療用ガーゼが一般的でなかった昔は、ガーゼを縫製もせずに使用していたり、市販のガーゼハンカチを手術に用いたりすることもあったようです。切りっぱなしは糸くずが体内に残る可能性があり、安全性への懸念から医療用ガーゼへのニーズが高まっていました。
当社ではまず、無蛍光のガーゼを取り寄せ、一般のガーゼハンカチをまだ製造していた頃には、医療用ガーゼを縫製する前にミシンまわりをきれいに清掃するなどの配慮をしていました。やがて非常に特殊な製品である医療用ガーゼの製造販売に専念することにしたのです」と笠井健功氏は語っています。

同社では一枚一枚丁寧に医療用ガーゼ作りを行う。
健康医療ものづくり研究会を機に口腔内清掃用製品を新開発

医療用ガーゼの製造には、独特のノウハウや技術が求められます。例えば、体内にガーゼの置き忘れがないよう生地に「X線造影糸」が織り込まれているほか、ガーゼの端には紐がしっかりと縫い付けられています。その紐の寸法も細かく規定されているのだとか。
「ガーゼの裁断口から糸くずが出ないように縫製する方法も、大量生産型の大手メーカーでは一つの縫い方で統一していますが、当社は職人による1枚1枚手縫いなので、医師の要望などにより千鳥縫い、メロー縫い、本縫いの3種類を使い分けています。また、手術の内容によって出血量などが異なるため、サイズや合わせ枚数も細かい要望にオーダーメイドで応えており、直接の得意先である大手メーカーに向けての、ひいてはエンドユーザーである医療機関に向けての大きなアピールになっています」。
そうしたなかで、医療現場の声を直接聞いてみたいと健功氏が参加している堺市産業振興センターの「さかい・健康医療ものづくり研究会」をきっかけに、新たな製品が誕生しました。口腔内清掃用「口腔ケアガーゼ」です。
「研究会の中で個別相談会が開かれた時、嚥下(えんげ)障害を持つ患者さんの口腔内を清掃するための製品が作れないかという相談を受けました。これまで裁断されただけのカットガーゼを指にぐるぐる巻きつけて使っていたそうで、その手間を軽減したいという要望でした。単価を少しでも低く抑えるため最初は三角に折って縫ったものを試作品として持っていきましたが、ケアの途中で抜けないように握り込むための柄が必要なことや、その柄が長すぎても短くてもいけないこと、さらには指を全て覆うものでなければいけないことなどをクリアさせるためにいくつもの試作を重ねました。現在は完成し現場でモニター使用中です。家庭の介護現場でも需要が見込める製品で、今年の発売を目指しています」。

口腔内清掃用として製品化した「口腔ケアガーゼ」の使用例
医療用ガーゼを活かした一般向け製品で自社ブランドを

今回の経験から医療現場の声を直接聞きたいという思いが強まり、最近ではメーカーの営業担当に同行させてもらい始めたという健功氏。さらにはエンドユーザーに直接製品を届けたいと自社ブランドの立ち上げも計画中です。
「ただ医療用は滅菌設備などが必要で、負うべき責任も重いことから、安全性や衛生面でニーズのある育児や介護用で医療用ガーゼを使った製品を展開できないかと考えています。すでにいくつかの製品をモニターで使ってもらいました。
また、これまでわずかなキズでもB品として処分していたガーゼ生地を有効利用できないかと考えています」。
今後は、これまで通り現場の声をカタチにする医療用分野で専門性を発揮するほか、高品質の医療用ガーゼの優位性を広く一般の方々にも訴求できる製品づくりを進めていきたいと健功氏。人の命に寄り添う現場こそが、同社の丁寧で高品質な「日本製」が活かされる市場のようです。

手軽に使用できる「口腔ケアガーゼ」

経営のキモ

【特集:企業のターニングポイント】
自社ブランド商品を立ち上げようという熱い思いで、健康医療ものづくり研究会で医療用ガーゼのニーズ探索を行った結果、口腔内清掃用製品「口腔ケアガーゼ」の共同開発テーマを得て、その実現が間近になっています。

笠井商会

代表者名 笠井 貞夫
本社 堺市西区鳳東町1-62
TEL 072-271-0116
設立 1964年創業
資本金
従業員数 10名
事業内容

衛生材料製造販売・OEM・受託製作

ホームページ https://kasaigauze.com/
さかしる掲載ページ

SAKAIもの新発見

ビジュアル

常磐精工株式会社

ラクに持ち運びができて頑丈 自由な発想で楽しめる「TABLEX」

スタイリッシュなデザインが目を惹く「TABLEX(テーブックス)」。 高いデザイン性だけでなく、 天板と脚部の 3つのパー ツに分かれるため持ち運びやすく組み立て ・解体も簡単で、 さらにユーザーの用途に応じて連結できるといった機能性にも優れています。 アウトドアだけでなく、 ラックやフラワ ースタンドなど室内のインテ リアとしても活躍するアイテムです。
一般にステンレスと比べて強度が低いというイメー のアルミですが、常磐精工株式会社が独自に開発した「ロジータスパイプ」 はその特殊な構造により、 アルミの軽量で錆びないという特性を活かしながら非常に高い強度を実現。「TABLEX」の耐荷重も100kg以上の頑丈さです。
2022年11月の発売に先駆けて実施した応援購人サービスでの販売では、初日だけで100万円を超える売上があったとか。購入者からの声を受け、カラーも黒とシルバー の2色展開としたほか、天板と脚部をそれぞれ単体で買い足せるようにしたそうです。喜井翔太郎取締役・営業 部長は「アウトドア用品店の什器として活用いただく場合の特注も受けていきたい」と語っています。

画像
代表者名 喜井 充
本社 堺市北区常磐町3-19-3
TEL 072-255-1287
設立 1964年創業 1967年設立
資本金 2,000万円
従業員数 17名
事業内容 アルミ製販売促進ツール、安全衛生用品、アウトドア用品の製造・販売
代表者写真
さかいモノてらす