インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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子どもたちの未来を考えた3事業で地域と人をつなぐ 株式会社サンエイプラテック 代表取締役 岡田 全也

多種多様なプラスチック部品の製造などを手掛ける株式会社サンエイプラテック。2019年に、保育士だった岡田全也社長の経験から地域に密着した保育園事業も立ち上げ、さらに最近では地元企業や大学をつないだ新たな事業も動き始めています。

新会社で家業を承継 保育士の経験から保育園も開園

 「もともと家業を継ぐ気はなく、0歳児が初めて出会う先生という仕事がとても魅力的で、保育士という職業を選んだんです」と語る岡田全也社長。8年間、保育園や障がい者施設に勤務していましたが、家業を新しい形で引き継ごうと、2013年に株式会社サンエイプラテックを創業しました。
 「昔からのお得意先の信頼も厚く、そのまま取引も受け継ぎました。驚いたのは、それまでの仕事の進め方が属人的で、例えば1年に1回しか注文のない仕事も従業員の記憶だけが頼りでした。そこで1製品ごとのマニュアルを整備したほか、何かあった時にどう対処したかのノウハウも一元化するなど品質管理の仕組みづくりを行いました。今ではほぼ残業はありませんし、私が常時いなくても現場が回るようになりました」と岡田社長は語っています。経営も安定し、時間と資金に余裕のできたところで、岡田社長がスタートさせたのが保育園事業です。
 「資金の投資先を考えた時に、私が最もよく知る世界はやはり保育だろうと思ったのと、ちょうどその頃に市の認可事業として小規模保育事業が始まったことがきっかけでした」。


▲トウモロコシのデンプンや乳酸菌などから作られる生分解性バイオマスプラスチック(ポリ乳酸)製品。

▲生分解性バイオマスプラスチック(ポリ乳酸)製品製造現場。

子どもたちに託せる未来に向け環境問題を考える絵本を出版

 2019年に開設された小規模保育施設「なるなる保育園・幼保園」で大切にしていることは、運動遊びと食育、そして自然に触れることだと岡田社長は言います。
 「生きる基礎を教えたいと思っています。体を動かすのは指先まで感覚が通うことで、これから何らかの技術を身に付ける上でも役立つと思いますし、食べることはまさに命を学ぶことにつながります。食でいただく命は動物だけではないですから、子どもたちには大根やプチトマトの栽培を体験してもらっています。また、園内の給食で使用するパンや米は、地元とのつながりを大切に感じ、個人商店から購入しています。イモ掘り体験に協力いただいているのも堺市内の農家さんで、このたび園バスを購入したので、これからは植えるところから収穫までの全てを体験してもらう予定です。さらに、奈良の古民家を取得したので、蛍を見たり川遊びしたりするなど自然に触れる宿泊保育も考えています」。
 こうして子どもたちと関わるなかで、岡田社長が自ずと考えるのは「子どもに託せる未来」のことです。有害物質を吸着したマイクロプラスチックが魚介類などを通じて人体に取り込まれる可能性が懸念されるなど、海洋プラスチックゴミが社会問題になっている一方、安価で使いやすいプラスチックによって、この何十年の文明が大きく発展してきたことも事実と岡田社長。次代を担う子どもたちにも、人がプラスチックとどう関わっていくべきかをわかりやすく伝えたいと、自ら文章と絵を手掛けた絵本『くるくる なるなる』を出版しました。


▲なるなる保育園・幼保園では、0歳児から5歳児までの子どもを受け入れている。

プラスチック製造や保育園のほか地元企業をつないだ新事業も

 一方、サンエイプラテックとしても環境問題は無視できない課題であり、大阪府のバイオプラスチック推進事業の支援を受けて、使用後は自然に還る生分解性材料・ポリ乳酸を使用したバイオプラスチック製品の開発を進めています。
 さらに、岡田社長の思いは広がり、「子どもに託せる未来」を中心に、プラスチック製造業と保育園事業、そして新たに立ち上げたNPO法人による3つ目の事業を連携させる構想を持っています。3つ目の事業とは具体的に、地元企業から出る廃棄物を活用した堆肥づくりや奈良の古民家の活用などです。
 「地元でチェーン展開されているコーヒー店で毎日大量に廃棄されるコーヒーかすと、堺の豆腐メーカーから出るおからを活用した堆肥づくりを大阪公立大学の先生たちと研究開発中です。この堆肥で小松菜などを生産すれば、それがまた堺産としてのブランディングにつながるのではないかと考えています」と語る岡田社長。丁寧なコミュニケーションで信頼関係を構築しながら、さまざまな企業や人をつないだ事業を展開していきたいと考えています。


▲食育も大切にしている同園では、子どもたちの給食も園内で調理をしている。
経営のキモ

一見ばらばらに見える3つの事業を「子どもたちに託せる未来」のキーワードのもと、工業・農業・教育と分野横断的に取り組むことで、連携先を紹介されるなどネットワークを広げ、新たな価値を生み出しています。


株式会社サンエイプラテック

代表者名 代表取締役 岡田 全也
本社 堺市北区北花田町3-37-9
TEL 072-230-4187
設立 2013年設立
資本金 500万円
従業員数 20名
事業内容 プラスチック射出成形、プラスチック成形品の2次加工、電線加工
ホームページ http://www.saneipla.jp/
なるなる保育園・幼保園ホームページ https://narunaru-saneipla.jp/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=1289

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