インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~
ゼネコンやハウスメーカーなどを得意先として、造園工事や植木の卸を行っている北野緑生園株式会社。10年前からはオリーブオイルの製造・販売を手掛けており、そのオリーブを活用した教育プログラムで、地域の高校や小学校ともつながっています。
創業80年の造園会社がオリーブオイルの製造・販売へ
1945年創業の北野緑生園株式会社。ハウスメーカー各社や建築家を通して、個人宅の庭づくりを手掛けることも多く、北野裕之社長は「わが家が一番癒やされる空間であることを体感いただけるような庭づくり、演出を行うのが我々の仕事です」と語っています。
樹木を植えっぱなしではなく、剪定など、その後の管理にも責任を持てる庭づくりをめざし、社員には樹木医の資格を取得させており、造園設計者や建築家からも高い評価を得ています。
一方、10年前にスタートさせたのは、堺産オリーブオイルの製造・販売です。
「もともとオリーブは、庭木として和風の庭にも洋風の庭にも合うということで、スペインからオリーブの古木を仕入れていました。その買い付けに訪れたスペインで、オリーブオイルと塩とビネガーだけの素朴な味付けの食事があまりにおいしくて感動したんです。20~30年前から間引きされるオリーブを引き取っていた小豆島で、オリーブオイルを絞ったり塩漬けしたりするのを見る機会があり、当社でもできないかと思っていましたが、スペインでの体験をきっかけに、オリーブの木だけでなくオリーブオイルの製造・販売までを行う『YURINA OLIVE(ユリナオリーブ)』を立ち上げたんです」。
そのオリーブオイルは「堺産プレミアム100%エキストラオリーブオイル」として、昨年には「OSAKAPRIDEPRODUCTS2025」にて、大阪府の「大阪代表商品」の50品に選ばれています。


▲同社では、外構の植栽に使用する樹木や苗の栽培・育成も行っている。
小学校、高校、地元自治会が連携した教育プログラムに参画
さらに昨年から、同社の堺産オリーブをSDGsの教育プログラムに活用しようという取り組みが、堺市立新檜尾台小学校で、北野緑生園や地元自治会、大阪府立農芸高校と連携して行われました。
「農芸高校で飼育している豚の飼料に、うちのオリーブの搾りかすが活用されており、地域で循環するその取り組みに関心を持った新檜尾台小学校からの依頼で始まったものです。子どもたちにオリーブの挿し木から育成、実の収穫、そして加工、販売と一次産業から六次産業までの過程を学んでもらいました。農芸高校の生徒たちも自分たちの取り組みを小学校で出前授業したり、地元自治会の皆さんが日々の管理をサポートしたりと、地域が一体となっての活動はすばらしいものでした」。
こうした地域とつながるプロジェクトに企業として関わることの意義を北野社長は「今の子どもたちはすぐにネットで楽に情報や知識を得ようとしますが、オリーブは毎年同じ世話をしていても、たくさん実をつけた翌年は少なくなりますし、その年の気象によっても異なります。それを自分で体験して考えて、学ぶことが非常に大切なんですね。私たち地域に根ざした企業は、そういうリアルな学びの場や経験を提供できるのではないかと考えています。実際、今回のプロジェクトでも、私たちがいつまでも世話をしなくても、自ら肥料のことを調べるなどして、どんどん前へ進んでいく姿に驚きました」と語っています。

▲今年度、「2026 Los Angeles International Extra Virgin Olive Oil Competition」※に堺産オリーブオイルで初挑戦の予定。
※世界中のエキストラバージンオリーブオイルを対象とした国際品評会の一つ。
オリーブをトータルに活用できるブランドの確立を
「小豆島の小豆オリーブ研究所の方が当社の取り組みを視察された時に『羨ましい』と言われたのは、小豆島ではオリーブが観光資源となっても、島内の人口は減る一方だから地域振興につながらないが、堺産オリーブオイルには可能性があるということでした。当社は周囲の100坪、150坪という小規模の耕作放棄地を引き受けてオリーブの栽培量を増やしており、堺産オリーブが地域の活性化に貢献できればと願っています。
また当社では、堺酪農団地で生産される牛ふん堆肥をオリーブ畑で使用し、オリーブオイルの搾りかすは農芸高校で養豚に活用してもらっています。まさに堺市内で資源が循環できていることも優れた取り組みだと思っています」と北野社長。
大阪・関西万博では、同社が製作した直径180㎝の巨大リースが、オリーブ起源の地・ヨルダンのパビリオンに飾られ、関連イベントも開催されました。今後は「YURINA OLIVE」を、オリーブを活用した庭のデザインや教育、イベントまでも総合的にプロデュースできるブランドに育てていきたいと考えています。

▲大阪府立農芸高校で飼育している豚の飼料用にオリーブの搾りかすを使用。

▲同社は堺市立新檜尾台小学校と連携し、校内にある「オリーブの森」で出前授業を開催。
経営のキモ
耕作放棄地を使ってオリーブの栽培量を増やすだけでなく、堺市内にある高校や小学校と連携して地域の子どもたちの教育にも携わり、将来にわたる地域貢献につながる事業展開と自社のブランディングを実現しています。

北野緑生園株式会社
| 代表者名 | 代表取締役 北野 裕之 |
|---|---|
| 本社 | 堺市美原区菅生1328 |
| TEL | 072-361-0278 |
| 設立 | 1945年設立 |
| 資本金 | 1,000万円 |
| 従業員数 | 13名 |
| 事業内容 | 卸売造園工事業、オリーブ製品の製造・販売 |
| ホームページ | https://kitano-ryokuseien.jp/ |
| YURINA OLIVEホームページ | https://yurina-olive.com/ |
| さかしる掲載ページ | https://sakacil.com/detail/?id=8833 |









