インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

国内有数の高度な技術力で幅広い産業分野に機能性材料を提供
1947年の創業以来、さまざまな産業分野でキーマテリアルとして使用される化学工業薬品を開発、製造してきた関西触媒化学株式会社。同社の主力製品である球状水酸化ニッケルを実現した球状化技術や異種元素固溶技術など、国内有数の技術力を誇っています。
とりわけ近年は、電池材料で強みを発揮してきた同社ですが、数年前から進めていた「発電用タール改質触媒およびバイオマスガス化発電システムの開発・実証」に成功しました。大阪・関西万博でも、未来の暮らしや未来への行動をテーマとしたパビリオン「フューチャーライフビレッジ」で、その成果を10月に出展します。このプロジェクトを主導したのが、開発部の大谷昌司係長です。
箕浦義基社長は「当社はこれまで主力事業である電池材料の研究開発に注力してきましたが第2、第3の柱を作る必要もあります。そこで、電池材料以外で潜在的なシーズの開発に取り組んでいるのが大谷です。彼は大学や研究機関、研究者などと積極的に接触し、良好な関係を築きながら共同開発を進める能力に長けており、そうした社外関係者からの信頼や評価も高いですね」と語っています。

▲関西触媒化学株式会社
開発部係長 大谷 昌司

▲電池や電子部品、触媒、表面処理、顔料、試薬など幅広い分野でキーマテリアルとして使用される製品を提供する同社。
バイオマスガス発電の課題に着目しタール改質触媒を共同開発
「大学時代から他学部の友人の話を聞くのは好きでしたし、社会人になった今も研究職の友人たちとの交流の中から、シーズを発見することはあります」と大谷係長。先述のバイオマスガス化発電システムも、大阪産業技術研究所(以下、大阪技術研)との共同研究でした。
「大阪技術研の担当者が大学の後輩で、カーボンニュートラルな燃料として注目されるバイオマスガス発電ですが、ガス化する際に発生するタールが配管を閉塞させることが大きな課題だという話になったのです。そこで、発生したタールを分解するタール改質触媒を共同開発することとし、まず大阪技術研がタール改質触媒の基本原理を開発。私たちは、その触媒の改良と量産技術の開発を担いました。最も苦労したのは触媒の強度向上で、粉体のまま使えない触媒を"転動造粒"という手法で土台となるアルミナボールにコーティングしたのですが、どうしても触媒粉が剥がれやすく、クリアするのに約1年かかりました。その時に開発した添加物は、大阪技術研と共同で特許出願しています」。
同システムは現在、メーカーとともに製品化を進めているところで、早ければ来年度にも発売される予定です。

▲「バイオマスガス化発電」を活用しての持続可能な地域づくりをイメージしたジオラマ。
ナノ材料への興味から入社 好奇心のままに潜在的なシーズ開発を
ところで、大谷係長が関西触媒化学に入社したきっかけは、まだ大阪府立大学(当時)の学生だった時に、共同でナノ水酸化ニッケルの研究を進めていた同社のインターンに参加したことだったとか。「ナノ材料はさまざまな分野で期待されており、私自身も興味があったので、そのまま入社を希望しました。入社後、初めは戸惑ったほど、自由に研究させてもらえる環境で、自分の好奇心のままに仕事ができて本当に楽しいです」と笑顔で語ってくれました。
箕浦社長は「新規事業というのは10年、20年とかかって一つ生まれるかどうかだと思いますが、今回の成功体験により新たなインスピレーションが働いて、また面白いものを生み出してくれるのではないかと期待しています」と語っています。

▲「X線回折装置」などを備えて、常に新たな技術開発に挑んでいる。
関西触媒化学(株)の人材戦略
社員が活躍できる環境とチャンスの提供を重視
当社では採用後に、社員がいかに活躍できるようにするかということを重視しています。型にはめるのではなく、自分で考えて成功も失敗もたくさん経験できるような環境とチャンスを与えたいと考えており、それが定着率と技術開発力の向上につながり、当社の強みになっていると考えています。
関西触媒化学株式会社
代表者名 | 代表取締役社長 箕浦 義基 |
---|---|
本社 | 堺市堺区柏木町1-3-13 |
TEL | 072-241-6200 |
設立 | 1947年創業 1957年設立 |
資本金 | 3億280万円 |
従業員数 | 92名 |
事業内容 | 化学工業薬品、二次電池用正極材、電子部品材料、金属表面処理剤、触媒用各種薬品の開発・製造・販売 |
ホームページ | https://www.kansyoku.co.jp/ |
さかしる掲載ページ | https://sakacil.com/detail/?id=2919 |