インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

荷役運搬機械のトップメーカーとして知られる株式会社をくだ屋技研。大阪・関西万博には、「万博TDMパートナー」として万博デザインのキャッチパレットトラック23台を無償貸与し、バックヤードで万博の運営を支えています。
誘致活動中から大阪のものづくりのアピールにひと役
1934年の創業から90年余りの歴史を刻んできた株式会社をくだ屋技研。法人化した1954年から培ってきた油圧ポンプの技術を礎として、現在では荷役運搬機械や環境機器の製造・販売を行っています。
同社の強みは、製品の研究開発から製造、アフターケアまでを自社で一貫して担う完成品メーカーであることで、なかでも同社が日本で初めて開発したキャッチパレットトラックは業界シェア50%を誇っており、運搬の合理化や省力化に不可欠と高い評価を得ています。
大阪・関西万博では、このキャッチパレットトラックを23台無償貸与しており、物流倉庫やサブストックヤードで活用されています。
「万博については、関西経済連合会の一員として、誘致活動から参加していました。博覧会国際事務局が開催候補地として大阪を視察したときには、大阪のものづくりをアピールするものとして当社の製品も展示しました。関西の経済界が熱心に万博誘致に取り組んでいるのを間近に見てきたので、決定した時には当社しかできないことで協力したいと考えました」と奥田智社長は語っています。


▲得意先との商談や社内のミーティング、休憩室としても利用される人気のOKUDAYABASE。
万博に参画する目的と意義を全社員と共有
同社が万博に貸与したのは、約1トン半までの重量ならどのようなものでも運搬できる汎用性の高い標準型のキャッチパレットトラックです。万博カラーでオリジナルにデザインされました。
こうしたことの一つひとつを日本国際博覧会協会とやりとりする窓口として、社内に藤田善弘財務部部長ら5名のメンバーで構成されるチームが作られましたが、奥田社長は、社員全員と万博に参画する目的や意義を共有することが重要だと考え、社員全員に一人3枚までのチケットを贈るとともに3つの目的を示しました。
「1つ目は、大阪のものづくり企業として、当社が得意とする製品で役立ちたいということです。2つ目は、当社の製品が万博の運営に貢献していることを社員たちと体感し、それが当社のレガシーとなればと考えました。そして3つ目は、万博のテーマにもある『未来社会』で求められる企業の姿を知ることで、当社の持続的成長につなげることです。協賛にあたっては、社会との関わり方や環境問題への意識など相当数のチェック項目を審査されますが、それらは未来における調達コードでもあります。それらをひと足早く知ることで、当社の事業のあり方にも反映できます」。

▲仕切りのないオープンなフロアで自社製品の設計・開発を行う開発戦略部。
環境問題にも注力し未来社会を見据えた事業展開を
「『いのち』を尊重し、持続する未来を創るという今回の万博のテーマはすばらしいと思いますし、小さなこどもからご高齢の方までが参加できる夢あるイベントだと思います。そこにものづくり企業として参加できたことはとてもありがたいことです」と語る奥田社長。
大阪万博(EXPOʼ70)が未だに多くの人の心に残っているように、今回の万博も後世に残るものにしたいと、社員に贈るチケットは記念品となるパスポートサイズのプラスチック製カードにしました。また、閉幕後に戻ってくる万博オリジナルデザインのキャッチパレットトラックは社内で展示したり使用したりするほか、協力会社にも記念として贈呈する予定です。
「我々の仕事は、人が運べない重たいモノなどの運搬といった課題解決ですが、将来はそれが人になったり、運搬方法自体が新たな課題となったりするかもしれません。我々の創業の原点である研究開発を今後も真摯に追求し、当社が得意とする小ロットでも高付加価値な専用機で、圧倒的な供給力を持つ海外製品との競争力を高めていきたいと考えています」。
同社では、すでに工場のエネルギーを全て再生可能エネルギーで賄っているほか、今年3月には世界初の環境配慮キャッチパレットトラックを発売しました。従来の作動油に代えて「水系制御液」を使用するもので、環境負荷の低減に寄与するものとして期待されています。
そして、中国とマレーシアの海外拠点に日本を加えた3拠点を軸に、アセアンやヨーロッパへ事業を拡大していきたいと語る奥田社長。未来社会を見据えた事業展開はすでに始動しています。

▲新工場では、自社製品の耐久性を確かめる試験や検査なども行っている。
経営のキモ
荷役運搬機械のパイオニアである同社は、製品力と環境対応を両立した経営を推進。主力製品のキャッチパレットトラックは、業界50%のシェアを誇ります。大阪・関西万博では万博仕様の同製品を無償貸与し、運営を支え続けています。

株式会社をくだ屋技研
代表者名 | 代表取締役社長CEO 奥田 智 |
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本社 | 堺市美原区丹上263 |
TEL | 072-362-2111 |
設立 | 1934年創業 1954年設立 |
資本金 | 9,650万円 |
従業員数 | 124名 |
事業内容 | 荷役運搬機械や環境機器の製造・販売 |
ホームページ | https://www.opk.co.jp/ |
さかしる掲載ページ | https://sakacil.com/detail/?id=22259 |