インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

環境調査・分析、測定のリーディングカンパニーとして、今年創業50年を迎えた株式会社MIZUKEN。長年、培われたノウハウを活かし、開催前の大阪・関西万博のウォータープラザで使用される大量の水について水質調査・分析をサポートしました。
業界トップクラスの陣容で1日400検体以上を分析
今年4月に社名を、株式会社総合水研究所から「株式会社MIZUKEN」へ。その理由を待田裕美会長は「当社は現在、水質調査だけでなく、大気や土壌、騒音、振動、アスベストなど、環境に関する調査・分析を幅広く手がけており、「水質分析」の印象の強い旧社名を以前から変えたいと考えていました。創業50周年の節目にあたり、これまで親しまれていた通称"みずけん"をアルファベット表記にして正式な社名としました」と語っています。
同社の所有する分析装置の台数や、技術士や環境計量士、公害防止管理者など多種多様な資格取得者を含めた約200人の従業員数規模は業界トップクラスで、日本水道協会や日本品質保証機構、浄水器協会の3機関の委託試験場に認定されているのも国内では唯一同社だけです。いろいろな企業から集まる検体は1日に400以上。それらを独自に開発した自動化装置などを駆使して効率的に検査しています。
大阪・関西万博では、開催前に海に張り出した大屋根リングの内側に設けられた約8800m2の水上スペース「ウォータープラザ」で大量に使用される水の水質調査・分析で協賛しました。
「開幕1年前ぐらいに、ウォータープラザの水質についての基準が定まらずに難航しているという話を耳にし、当社の本業である水質分析で万博開催を支援できればと、協賛を申し入れました」。


▲同社では最新の有機フッ素化合物(PFAS)測定装置を導入し、分析・試験・除去の対応を強化している。
開幕までの10ヵ月間取水口付近の水質を調査・分析
万博の開幕後、大変な人気を誇っているウォータープラザのスペクタクルショー。水のスクリーンや噴水などの水も海から取水されているものです。
同社では開幕1年前、まず現状の水質を把握することが重要だと提案。何度かの打合せを重ねて正式に協賛が決定してから同社の提案が受け入れられ、今年4月までの約10ヵ月、取水口付近の2ヵ所のプランクトン、臭気、有機物、菌類などを調査・分析しました。
「それが、期間中の水質の安全性を把握するのに有効だと考えました。ウォータープラザ内の水質基準を定めるのにも、それと決めたエビデンスが大切なのです。最終的に海水浴場やトライアスロンの会場などと同じ遊泳用の基準を参考とすることになりました」と待田会長。
同社ではその他、浄化方法を提案しました。開幕直前に発生した植物プランクトンには天然鉱物を使って凝集沈殿させるなどの対策も行いました。これまでオリンピック会場やテーマパークなどに豊富な実績を積み重ねていることが同社への高い信頼につながっているようです。

▲万博会場のこどもたちにも人気のあった顕微鏡はアスベストなどの分析に欠かせない。
次世代へのテーマは「超純水」ナノ・ピコの世界の分析に挑みたい
ところで同社は4月に、大阪ヘルスケアパビリオンの「リボーンチャレンジ」にも出展していました。
「私自身が大阪万博(EXPOʼ70)を10代で体験し、その時に感じたワクワクドキドキは、今も忘れることができません。それから55年が経って、再び同じ大阪の地で開催される万博には、当社の本業である水質分析をテーマに次世代のこどもたちにも何か心に残ればと、実体験型の『ウォーターラボ ミュージアム』を出展しました。こどもたちの描いた魚などの絵がスクリーンの中で泳ぎ出す演出は大好評で、想定していた千人を軽く超え、さらにお断りしなければならないほどのこどもたちが集まってくれました。会場には特に若い社員を赴かせましたが、大きな反響に喜んでいました」。
そして、待田会長が次世代に向けて挑戦したいと語るのは、国内で数少ない企業しか手がけていない「超純水」の調査・分析です。
「国も注力している半導体製造に超純水は欠かせないもので、ますます需要が高まることでしょう。当社がターゲットに考えているのは半導体の製造装置メーカーです。これまでマイクログラムまで測定できていますが、超純水となればナノ・ピコグラムまでの測定が求められます。かなり多額な設備投資が必要なほか、何より非常に高度な技術を要するもので、実際できるかどうか不安ですが、ここは会社を上げてチャレンジしたいと考えています」。
百年企業を目指す折り返し地点を迎えた同社は、新たなフィールドへ踏み出そうとしています。

▲環境分析センターでは、各分野の調査・分析を行うほか、人材育成、技術力向上を目的とした(一社)分析研修センターが併設されている。
経営のキモ
環境分析のリーディングカンパニーである同社は、創業から半世紀にわたり、技術と品質を追求し続けてきました。国内唯一の多機関認定試験場としての信頼と、大阪・関西万博開催前の水質管理協力が同社の存在感を高めています。

株式会社 MIZUKEN
代表者名 | 代表取締役会長 待田 裕美 |
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本社 | 堺市堺区神南辺町1-4-6 |
TEL | 072-224-3532 |
設立 | 1975年設立 |
資本金 | 5,000万円 |
従業員数 | 200名 |
事業内容 | 調査・分析・測定、各種実験・試験、認証サポートなど |
ホームページ | https://mizuken.com/ |
さかしる掲載ページ | https://sakacil.com/detail/?id=372 |