インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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「スマート化」の推進で専門店街の新たな魅力づくりを 泉北光明池専門店事業協同組合

大阪府や堺市のビジョンとともにサンピアの活性化ビジョンを

 泉北高速鉄道「光明池駅」の駅前にある専門店「ジョイフルショッピングサンピア」(以下、サンピア)。1979年の開業以来、地域の人たちが外食や買い物を楽しむ身近な商業施設として愛されてきました。ところが、住民の少子高齢化が進み、商圏内人口の減少が大きな課題となっています。泉北光明池専門店事業協同組合の吉田源三理事長は、「サンピアジョイカードの会員の約60%が60歳以上のシニア層なのです。お客様とともに、組合員の高齢化も進んでおり、これからサンピアをどう運営していくべきかが昨今の大きな課題となっていました」。  サンピアを運営する泉北光明池専門店事業協同組合(以下、組合)は、大阪府が開発した商業用地が分譲される際に、その受け皿として1975年に組合員52名で設立されたものです。今日では組合員も18名まで減少し、個々の事業承継も含めて組合の活性化もまた課題だったと吉田理事長は語っています。
 そうしたなか大阪府や堺市では、泉北ニュータウンの活性化に向けて、さまざまな取り組みを始めています。なかでも堺市が2021年5月に策定した「SENBOKU New Design」※を実現するための「SENBOKU スマートシティ構想」は、「Live SMART Play SENBOKU~暮らし愉しむ、アソビのあるまち~」をコンセプトとしたまちづくり構想です。
 組合では、この堺市のビジョンと、大阪府が2025年万博のテーマを踏まえて策定したビジョン「いのち輝く未来社会」を背景に、サンピアの活性化ビジョンをまとめました。「サンピア宣言2022」です。

※SENBOKU New Design...泉北ニュータウン地域において、新たな価値を創造し、将来にわたって多様な世代が快適に住み続けることのできる「持続発展可能なまち」を目指し、次の10 年の取組みの方向性や将来像を示した新たな指針。

スマートシティ構想の実現に向け「スマート化」の実装・実証の場に

 「サンピア宣言2022」を考えるきっかけになったのは、本館の地下1階にあった遊技業が撤退したことだったと吉田理事長。「次はどのようなテナントを誘致するかという目先のことよりも、サンピアとしての明確なビジョンを改めて作るべきだと考えたのです。まず外部環境と内部環境を分析し、これからは『いいしょくじゅうのまち』として地域の暮らしを応援していこうと定めました。『いいしょくじゅうのまち』とは、『医・衣・食・住のまち』であり、『いい職・住(民)のまち』、そして『いい色(しょく)・自由のまち』ということです」。
 「いいしょくじゅうのまち」を実現する事業領域を『アソビ事業』『学び事業』『医&e+事業』(eは、eの上に - を乗せたものに)とし(右図参照)、それぞれに具体的な事業計画も作成しました。まず取り組む大きなテーマは2つ。「いのち輝く未来社会」を背景とした「健康寿命」と、スマートシティ構想に基づく「スマート化」です。
 「すでに2番館にはクリニックやスポーツクラブが入居しており、こうしたテナントとのタイアップによってシニア層の健康づくりに寄与したいと考えています。『スマート化』については、サンピアをスマートシティ構想の実現に向けての実装・実証の場として、シニア層のスマート化支援に取り組んでいきます。そのプロジェクト名を『やさしくスマート事業』としましたが、この"やさしく"には"易しい"だけでなく"優しい"という意味もこめており、今さら人には聞きづらい、上手に使えなかったら恥ずかしいというシニア層の気持ちに寄り添って、昔から馴染みのあるサンピアでさまざまなIT活用を体験してもらえたらと考えています」。


▲館内各所に設置されるデジタルサイネージで、リアルタイムにキャンペーン情報などの情報配信を行う予定。写真は設置場所の一つ本館3階。

将来的には子育て世代にも魅力ある施設づくりのデザインへ

 「サンピア宣言2022」の策定では、堺市産業振興センターの「エキスパート派遣による経営力向上支援事業」を活用。スマート化の推進については「ビジネスマッチング事業」でITのプロとして㈱パソコンレスキューサービスの伊藤久美子社長を紹介いただきました。「伊藤社長にはITのプロとしてはもちろん、外部の客観的な視点と女性としての視点で的確なアドバイスをいただけるよう、引き続いてお手伝いいただくことにしました」と吉田理事長。
 現在はスマート化事業を進める前の環境づくりとして、全館で利用できるフリーWi-Fiの整備のほか、組合の事務所の改装を進めています。事務所は全面OAフロアにするほか、一般の人も利用できるテレワークブースやセミナースペースを設けました。組合運営のスマート化も図るべく、全組合員にタブレットを配付して、これまで紙で回していた文書のデジタル化を実施します。
 シニア層のスマート化支援については、大手キャリア4社との連携でまずスマートフォンへの乗り換えを促進するほか、実際にそれを活用することでどのように便利になり楽しみが広がるかを学ぶ機会と場を提供していきたいと吉田理事長。「サンピア集合のウォークラリーを企画したり、カウントした歩数に応じてポイントを提供したりして健康増進にも貢献したい」と語っています。
 将来的に子育て世代など若い住民が増えてきた時に、サンピアとしてどういうライフスタイルを提案できるのか、そういったことも今後デザインしていきたいと語っています。


▲新オフィスでは1人に1台のパソコンで、業務は全てデジタル化される。
成功のポイント

少子高齢化と商圏内人口の減少という危機的状況の中、目先の対策に捕らわれることなく、抜本的に見直し将来ビジョンを作ることから着手。計画実行はタブレットを使い、顧客データを見える化することからスタート。できることをみんなで一歩ずつ、これがサンピア躍進への礎です。


泉北光明池専門店事業協同組合

代表者名理事長 吉田 源三
本社堺市南区鴨谷台2-2-1
TEL072-299-8001
設立1975年設立
資本金3億8,016万円
組合員数18名
事業内容ファッション・コスメティック・グルメ・食料品、スポーツクラブ、クリニックなど複合型ショッピングモールの運営
ホームページ http://www.sun-pia.jp/

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