インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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魅力的な企業ホームページやweb動画の活用で販路を大きく拡大 株式会社テクノタイヨー

ものづくりの理念や実績を魅力的に訴求した新ホームページを公開

 アルミやチタンなどの金属の精密加工から、自動機・省力機械の製造・設計、組立まで幅広く対応できる高い技術力を礎に、さまざまなアイデアやソリューションの解決を製品というカタチにしてきた株式会社テクノタイヨー。自社でも独自にオイルダンバーやゴニオメーターといった製品を生み出してきました。
 同社では昨年度に、堺市の「DX促進補助金」を受け、企業ホームページの刷新や動画コンテンツの活用といった「営業のデジタル化」を進めています。取り組みのきっかけについて、推進責任者の水野由夫専務(写真左)は「これまでのホームページは求人活動を意識した作りになっており、当社が活気のある働きやすい会社であることの訴求に重きを置いていました。DX導入支援を受けられるのを機会に企業ホームページを一新し、自社の技術力をアピールし、ブランディングを図ることで、新規顧客の獲得に向けた営業力を強化しようということになったのです」と語っています。
 今年3月に公開されたばかりの新ホームページでは、同社のものづくりの基本的な姿勢を「経営理念」や「社訓」としてトップページで訴求しているほか、コーポレートスローガンに掲げる「発想をカタチに」の3つのソリューション事業についてもそれぞれ、具体的なプロセスや実績などがわかりやすく紹介されており、安心感のあるものとなっています。
 「ホームページのリニューアルにあたっては、外部の制作スタッフと当社の経営幹部が何度か会合を重ねて当社の事業コンセプトの掘り起こしを行ったほか、当社がどういったソリューションを提供できるかを制作サイドに伝えました。その結果、私たちが大切にしてきた経営理念や社訓の"三つのこころ"が実際のものづくりにいかに反映されているかが見えるものになったと思います。これらの作業の過程で、経営理念や社訓をいかに製品にのせてお客様にお届けするか、その道筋が見えたことも一つの大きな成果でした」と水野専務は語っています。


▲撮影した画像で寸法を確認する「画像測定機」。
厳密な品質管理が行われている。

目的は「デジタル化」ではなく「トランスフォーメーション」

 同社では一昨年に、女性社員たちによるSNSチームを発足。フェイスブックなどのSNSを活用してきましたが、新ホームページの公開と同じ今年3月には、web動画の公式チャンネルも開設しています。
 まずは外部の制作スタッフにシナリオの書き方などのノウハウを学びながら2本の動画を制作。今後はその経験を活かしてチームで制作、公開していく予定です。
 「この2回はカチカチゴニオメーターとオイルダンバーを紹介しましたが、これからは当社の加工技術の紹介なども行っていきたいと考えています」と水野専務。こうしたSNSの発信によって、社内に向けても価値観や理念の共有化が図れるほか、営業では自社の強みをアピールするツールになると「営業のデジタル化」への期待を語っています。
 さらに、水野専務が主張するのは、DXの導入で重要なのは、"デジタル化"よりも"トランスフォーメーション"なのだということでした。つまり、外に向けての見せ方をバージョンアップしたのと同時に、本来のものづくりの変革もやっていかなければ意味がないということを語っており、今後の課題として生産現場の「デジタル化」を挙げています。
 「今年度は堺市産業振興センターの中小企業デジタル化・自動化促進支援を受け、生産管理や工具の管理、検査における測定値のデータベース化など製造現場のデジタル化を進めていく予定です。直接、利益を生み出さないところですが、そこをこそ合理化しなければ、競争力を強化できないと思うからです」。


▲オリジナルキャラクターの「カチ ゴニ男」くんとともに活躍中のSNSチームのみなさん。

人材育成という課題があるもデジタルによって広がる可能性

 中小企業がDXを推進する上で留意すべき点について、水野敏雄社長(写真右)は「いかに良いシステムでも、実際に運用する生産管理者が理解できなかったり、現場に馴染まなかったりするのなら意味がない。今回、社内で最もITリテラシーの高い専務にDXの推進を担ってもらいましたが、彼には新製品の開発という重要な役割があり、今後は社内でシステムを運用する人材の育成が急務です」と語っています。
 一方、DXを導入するメリットとして「飛び込み営業をしても門前払いをされそうな大手企業数社から、当社のホームページを見て打診がありました。加工技術の実際を動画で見せることで、安心感も得やすいと思います。また、このたびのコロナ禍で、デジタル技術を駆使すれば、商圏は広げられることを実感しています。今後は当社のオフィスのあるベトナムを皮切りに、医療機器のニーズの高い北米、ヨーロッパへと販路を拡大させたいと考えています」と水野社長。
 さらに、自社製品を直接販売するD to Cも積極的に展開する計画です。「釣りやキャンプなどのこだわりの道具を、クラウドファンディングサービスを介して応援購入してくれる方たちとともに作っていきたい。手始めにソロキャンプ用の鉄板を製作・販売しましたが、若い社員のモチベーションも上がりました。また、ゴニオメーターの例のように、不便だと思いながらも使い続けている道具がさまざまな業界にあるように思います。他業界とのコラボレーションで、困りごとを解決するものづくりを進められれば」と水野社長。さらなるDXの推進によって実現したいのは、「ものづくりの魅力、喜びを再び取り戻したい」という願いのようです。


▲トレーニングマシンなど幅広い用途で採用されているオイルダンバー(上2点)と、大学と共同開発されたカチカチゴニオ。片手で簡単に、しかも正確に計測できるというので高い評価を得ている。
成功のポイント

同社は、求人活動を意識したホームページから、自社の経営姿勢や技術力をアピールしブランディングの強化を図ったものにリニューアルすることで、飛び込みでは営業できないような大手企業からの引き合いも獲得してきています。


株式会社テクノタイヨー

代表者名代表取締役社長 水野 敏雄
本社堺市東区石原町1-153
TEL072-255-9559
設立1983年
資本金1,000万円
従業員数48名
事業内容ダイカスト・ロストワックス・MIMの鋳造から加工まで、マシニング加工、各種金属の切削加工、機構ユニット・電装ユニットの組立加工、オイルダンバーの開発・製造、オリジナル製品の開発・製造・組立
ホームページ https://www.techno-t.co.jp/

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