インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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クラウドサービスを軸にしたDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進 情報を一元化 生産効率も大幅に向上 シャープ化学工業株式会社

企業向けクラウドサービスでセキュリティ面も安心

 建築や土木、住宅向けのシーリング材やコーキング材、電子材料用接着剤などの製造販売で豊富な実績を誇り、それを充填する装置までも独自に開発しているシャープ化学工業株式会社。シーリング材は、多様なカラーリングのニーズに応えて、業界最多の70色の色揃えをしている上に、コンピュータによる調色で特注生産も行っています。
 同社では2019年度に、スマートものづくり導入支援を受けて製造現場にIoT機器を整備するなど、すでにデジタル技術の活用を進めていましたが、昨年度は堺市の「DX促進補助金」などを利用し、全社ですべての情報、コミュニケーションを一元化できるクラウド型グループウエアサービスと、営業支援システムを導入しました。
 村上幹男社長は「これまでもオンプレミス、クラウド問わずさまざまなサービスを個別に利用していましたが、情報が分散したり、セキュリティ上の問題があったりしました。今回のクラウド型グループウエアサービスの導入で、生産計画や出来高管理などの情報を、管理者をはじめ担当者全員が同時に確認できるようになったほか、何よりハッカーの侵入などの心配もなくなりました。インターネット空間で会社の信用の元となるドメインもこのサービス内で管理し、全社員にアカウントを割り当てたので、万一の災害など緊急時もすぐに連絡が取れます。不審なログインにはアラーム通知があるなど技術情報の漏洩防止にも有効で、コンプライアンスの強化にもつながったといえるでしょう」と語っています。


▲クラウドサービスにアップされている作業手順書などはいつでも、どこでも手元のタブレットで入手できる。

商談プロセスの一元管理で高付加価値な案件の選択も

 DX導入による具体的なメリットについて、西平雅則営業本部長は「まず製造現場においては、昨年まで作業日報や作業手順書などは全て紙ベースで、作業に入るたびにファイルを取りに行くといったことが行われていたのが、現在は手元のタブレットで全ての情報をクラウドから入手できますし、記入した日報も瞬時に共有できます。例えば、情報を改訂しても、紙だと作業者の手元に古いものが残っていたりしましたが、クラウドから引き出す情報は常に最新のものなので、そうした心配もなくなりました」と語っています。
 営業面でも同様のメリットが挙げられます。これまで会社に戻ってから日報などに入力し直していた商談の内容をその場で入力し、帰社前に会社に送信することができるようになりました。特に、開発案件を受けた時には、その情報をすぐさま社内の技術スタッフと共有できることでレスポンスのスピードアップにつながっています。カタログや見積もり書などもクラウド上にあるものをその場で提示でき、無駄に商談を重ねることもありません。
 DX導入による営業面での変革は目覚ましいものがあると強調する西平営業本部長は、クラウドサービスとともに導入した営業支援システムの活用で、全営業担当の案件の進捗状況が一覧できるほか、そのプロセスも一元的に管理できるようになったことで、格段に効率が向上したと語っています。全案件が見渡せることで、開発案件の予想売上や受注の確度に応じて優先順位もつけられるようになったということです。


▲営業管理ツールによって、すべての案件の進捗状況を共有できる。

DX導入に重要な経営者の強いリーダーシップ

 昨年からの新型コロナウイルス感染症対策のためにオンラインでの会議や商談が中心となり、デジタル化とあわせて営業にかける時間とコストが大幅に削減されたと西平営業本部長。「営業経費で言えば、前年比90%減で驚いています。車で営業に回れば、1日に数社が限界で、しかも往復の高速料金だけでも大きな経費がかかりますが、オンラインで十分に商談も打合せもできることがわかり、無駄に時間や費用をかけることがなくなりました。今では社員がみんな、無駄の排除に意識を向けるようになったこともDX導入の大きな成果です」と語っています。
 クラウドサービスの導入にあたっては、社内のどこにいても利用できるようネット環境の整備が必要でした。しかし、そうしたハード面の整備よりも大きなネックになったのは「人によるメンタルバリアだった」と村上社長。新しいスタイルへの変革に戸惑ったり、疑問を持ったりする従業員もいました。「それでも社長が自らDX導入の目的とメリットを明確に説明したうえで、必ずやり遂げるんだという強い意志を示したことで遂行できました」と西平営業本部長が語るように、大きな変化をともなうDXの導入には経営者の強いリーダーシップが重要なようです。
 「DXの導入によって案件数の増加と、納品までのスピードアップ、さらには事業の高付加価値化が図られたと考えています。それがひいては残業時間の低減や、給与や賞与に反映できれば、働き方改革にもつながることです」と村上社長。DXの成否が、経営の変革とともに、従業員の幸福度向上の鍵をも握っているといえます。


▲今年5月に新発売された次世代型シーリング材「ドライサラ」。従来品の約2~3倍の約20年という高耐候性を発揮するほか、スズ触媒を含まないメタルフリーを実現している。
成功のポイント

クラウドサービスの導入を経営の効率化だけでなく、従業員の幸福度向上に結び付けようとの社長の強い思いが、従業員の一体感も醸成、レスポンスのスピードアップや短納期化に結び付き案件数の増加につながっています。


シャープ化学工業株式会社

代表者名代表取締役社長 村上 幹男
本社堺市西区築港浜寺西町12-1
TEL072-268-0321
設立1960年創業 1965年設立
資本金9,200万円
従業員数48名
事業内容シーリング材・コーキング材・接着剤の製造販売、工事関連商品の仕入れ販売、輸出入
ホームページ https://www.sharpchem.co.jp/

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