インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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塗装したかのような輝きを独自に実現「無塗装樹脂成形」 株式会社河辺商会

得意先企業の高度な要求に磨かれた無塗装成形や薄肉成形などの技術

 社名に「商会」とあるのは、1955年の創業当時は紡績関係の商社業を営んでいたからという河辺商会。その後、紡績機械に使用されていた金属部品に代わるプラスチック部品を自社で設計し始めたのが、今日の事業の発端です。1966年には自社工場を建て、大手家電メーカーからの安定した受注もあり総合プラスチック加工メーカーとして成長してきました。
 なかでも、同社が得意とするのは、家電製品や自動車など、傷ひとつ許されない美しい外装が求められる製品のなかで使われるプラスチック部品の成形加工で、具体的には、2種類以上の成形品を同じ金型内で一体的に成形する「多色一体成形」や、まるで塗装したように美しい外観の「無塗装成形」、0.25mmの薄さに成形する「薄肉成形」などです。
 「55年ほどお取引が続いている家電メーカーの新製品開発をお手伝いするたびにハイレベルな要求があり、それに新たな技術を開発するなどして応えてきたことで、当社の技術力は磨かれてきたといえます」と福田康一社長。日本のものづくりの、より高い品質の追求はもちろん、製造コストの削減や製品の小型軽量化という流れのなかで、同社が果たしてきた役割は大きいようです。


▲高品質な製品づくりを支える検品作業

7年がかりで成功させたメタリック樹脂成形で優位性を確立

 なかでも特筆すべきは、アルミが練りこまれた樹脂の無塗装成形です。まるでメタリック塗装したかのように仕上げる成形技術で、傷を入れて塗装が剥げても生地素材の色が見えないことや、塗装の為の工程が省けるため製造コストが下がること、さらには環境保全の観点から、特に自動車メーカーから期待されている技術です。
 河辺商会では、金型の構造や温度管理などのさまざまな面から研究を重ね、7年掛かりで量産化に成功。現在は大手自動車メーカー2社で採用されています。現段階では、同社にしかできない成形であることから、大きな優位性を誇っているといえるでしょう。多色成形においても、3種類の成形ができる会社は稀有で、海外の有名自動車メーカーのヒーターで同社の成形部品が使用されています。


▲塗装したもの(左)と比べても遜色のない美しい外観は、樹脂の中に練りこまれた極小サイズのアルミの断面を同じ方向に揃える技術を確立したことで実現。

新技術の開発に重要な人の感性やアイデアを大切に

 同社の優れた技術力が高く評価され、昨年の「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞しています。福田社長は「技術力部門賞を受賞したことが、何より嬉しかったですね。当たり前のように継承してきた当社の技術やノウハウが、第三者機関から客観的に評価されたことが、あらためて私たちの自信になりました」と語っています。
 技術力を守り高めていくために重要なのは「お得意先からのどれほど難しいテーマも諦めないことと、社員一人ひとりの感性やアイデアを大切に、否定せずに受け入れていくことだ」と福田社長。今後は、これらの技術を活かした自社オリジナル製品の開発も目指しています。


タイ工場の立ち上げにともなう海外駐在の経験から「オリジナルの開発力に優れた日本のものづくりは誇らしい。それを知るために、ものづくり企業はもっと海外に進出すべき」と福田社長は語る。
活用した事業メニュー

■エキスパート派遣事業
インターンシップや新製品開発などで、社員が自分たちで考え実践する社内プロジェクトの立ち上げに活用しました。

■マッチングコーディネート事業
展示会の堺市のブースを借りて自社の技術をアピールしたほか、当社の技術を必要とする新たな得意先企業を紹介していただきました。

株式会社河辺商会

代表者名代表取締役 福田康一
本社堺市西区平岡町85-1
TEL072-260-6700
設立1955年創業 1978年設立
資本金5,000万円
従業員数45名
事業内容金型設計・製作、一般成形~2材成形、金属との複合成形、華飾成形、華飾・二次加工(印刷、塗装、蒸着、メッキ、レーザー)、完成品ASSY
ホームページ http://www.kawabe-co.com

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