インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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IoTという新たな知見と信頼できるブレーンを得て「攻め」の経営へ 株式会社小泉製作所

国も積極的に推進するIoTを「やってみる」の精神で

 パイプ曲げ加工で創業して90年近い歴史を誇る小泉製作所。現在は、オートバイ部品や医療・介護用品、家具など、高精度なパイプ曲げ加工や溶接加工、高耐食性メッキ加工を主軸とした事業を手掛けています。なかでも自社の技術力や対応力を最大限に活かせるとして、小泉達哉社長が注力しているのは、お客様の新規事業をアシストすることです。
 「新たな製品づくりのアイデアを持っている設計者やデザイナーの方に、それを実現できる技術を当社が持っていることを見せる場として、社内に展示スペースを設けました。自社の技術開発の拠点でもあり、当社の技術力を具体的にアピールする場になっています」。自社の技術だけで間に合わなければ、日頃からネットワークを構築している他社と組んでも必ず実現させてみせると小泉社長。社長就任以来、掲げ続けている「やってみる」の精神です。そして、それがIoT導入のきっかけでもありました。
 「最近は国の施策でも、IoTの推進が唱えられています。時代に取り残されないためにも、とりあえず取り組んでおきたいというのが最初でした。チャレンジすることで、何か新しい先が見えたり、新しい出会いがあったりするだろうと考えたからです。まず、堺市産業振興センターに専門家を派遣してもらい、現場を全て見てもらいました。そのなかで、IoTの導入効果が最も大きいのは、メッキ水槽の液面管理だろうということになり、具体的にシステムを開発するピンクボックスコンピューターさんを紹介していただいたんです」。


▲複雑な形状や三次元形状などの高度な技術を要するパイプ加工を得意とする

人の手に頼っていた液面管理をIoTで遠隔監視

 それまで同社が、メッキ水槽の液面管理で抱えていた課題は、給水する時に人が付きっきりで監視していないとあふれさせることがあるということでした。さらに、液温70℃の水が徐々に蒸発するため、水位が下がりすぎていないか気になり、週末に現場へ見に行くこともあったとか。長期休暇ともなれば、休暇中にも誰かを出勤させなければならなかったといいます。
 そこでまず手がけたのは、メッキ水槽の水位をセンサーで監視し、給水の開始や停止を自動で行う機能を備えることでした。万一、その水位を越えたり、逆に下がり過ぎたりした場合には、インターネットを経由して、小泉社長の携帯電話にメールで知らせるようになっています。システムの開発に際しては、堺市の「スマートものづくり導入支援補助金」を活用しました。
 「給水したまま忘れて、水をあふれさせることもなくなり、安心が得られました。大きな効果を実感したので、最初の一つの水槽だけでなく、全ての水槽に同じシステムを自分たちで展開し、さらには液温までを管理するシステムを自社で開発しました。これまで人の手に頼っていたことが、IoTのおかげで一気に解決できました」。
 IoTという言葉をテレビや新聞でよく目にするようになったとはいえ、小泉社長が実感するところでは、中小のものづくり企業では、まだまだ導入に慎重なところが多いようです。
 「人がやって間に合っているんだから、別にいいじゃないかって感じでしょうね」と小泉社長。新型コロナウイルスの影響で仕事量が減り、人が余っているという状況になれば、さらにIoTの導入は遅れるかもしれないと考えています。それでも「うちには関係ない」または「やりたくない」と思わずに挑戦することを勧めたいと小泉社長が強く主張するのは、IoTの導入が、自社に新たな道を開いてくれる可能性があるからだと言います


▲液面管理のためにIoTを導入したメッキ水槽

液温管理のシステムを自社で開発新たなビジネスへ

 「水槽の液面や液温管理は、当社だけでなく多くのものづくり企業が共通して抱えている悩みだと思うので、今回、当社で開発した技術やノウハウを、新たなビジネスとして販売していきたいと考えています。その時にはピンクボックスコンピューターさんにもご支援いただこうと思っています」と小泉社長。当初の思惑通り、まずはIoTとはどういうものなのか自ら活用してみて、そしてそこで出会ったシステム開発の専門家とノウハウを共有しながら、新たなビジネスにつなげていく、というのは、小泉社長が得意とするところのようです。
 IoTを導入してみようという際に留意すべきことをうかがうと「システムの開発など社外にブレーンを求める場合は、一緒にビジネスをしよう、同じ船に乗ろうと思えるほど信頼できるパートナーを探すことが大切ですね」と話していました。そうでなければ、自社が抱える課題の本当の解決にはつながらないのでしょう。同社では、IoTを進めることで社内が活性化したそうです。今後は、IoTに取り組んでいること自体をアピールポイントにしていきたいとか。
 IoTは生産効率の向上やムダの削減といった"守り"だけでなく、"攻め"のツールにもなるのだと小泉社長は強調していました。


▲メッキ水槽の管理システム画面
成功のポイント

「やってみる」精神で常に新しいことに挑戦している小泉社長。自社の技術だけで間に合わなければ、信頼できるパートナーと組んで必ず「やってしまう」攻めの経営姿勢が、チャレンジ精神豊富な社風と顧客からの信頼獲得につながっています。


株式会社小泉製作所

代表者名代表取締役 小泉達哉
本社堺市堺区鉄砲町18
TEL072-229-2332
設立1933年創業 1948年設立
資本金1,200万円
従業員数18名
事業内容オートバイ部品・産業用ヘリコプター部品、特殊自転車部品、厨房関連・住宅関連部品、医療・介護用品、LEDキャリースタンド製造販売
ホームページ https://www.koizumi-ss.co.jp/

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