インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

ホスピタリティマインドで従業員の仕事への満足度を高める 有限会社関西貿易 

副資材の輸出業からものづくりへ
人材育成の大切さを実感

 関西貿易の事業の柱は2つ。一つは自動機などの生産設備の設計製作と、もう一つは車軸やギヤといった金属部品の熱処理・表面処理加工です。ものづくり企業でありながら「関西貿易」という社名なのは、創業当時の事業内容によるもの。元は堺市内の大手アウトドアスポーツメーカーの技術者だったという森勲社長が、シンガポールに駐在していた折に、現地には研磨剤などの副資材のメーカーがなく、日本やドイツからの輸入に頼っていたことにビジネスチャンスを見出し、1996年に副資材の輸出業で創業しました。その後、かつての勤務先から声をかけられ、機械の設計・製作事業をスタートさせた森社長。「ものづくりが好きなことを再認識した」と語っています。
 自社で製造を開始するにあたっては、当初60代のベテラン技術者を雇用してスタートしたものの、昔ながらの職人気質で、「得意先の要望に応える」という今では当然の認識を共有できなかったことから、若い人を一から育てていくことに方針転換したといいます。
 「新卒も含めて若手社員を初めて採用したのは2008年。世の中はリーマンショックで景気の落ち込んでいる時でしたが、当社はその影響を受けなかったので、逆にすばらしい人材を獲得できる幸運に恵まれました」。その時に採用した若手の社員たちが今、同社の主力となって活躍しています。


▲顧客からの要望を具体的に設計図に落とし込む

従業員一人ひとりが自分で考え、行動できる組織づくりを

 「御社の強みは?」という質問にすかさず「人材」と答えた森社長。平均年齢38歳という、ものづくり企業としては若い社員たちに、全従業員の約37%を占める女性たち、そして8人の外国人エンジニア・実習生という多様な人材が、得意先のさまざまな要望に応える強い現場力や瞬発力を発揮していると森社長は語っています。「女性は根気があるし、ムダがない。ベトナム人の従業員は家族思いで勤勉です」。
 機械の生産量は一定だけれども、人間はその人のモチベーション次第で生産力を上げることができる。これからのものづくり企業は、まず、会社が目指すべき方向を示し、それを実現するためにはどうするのかを社員一人ひとりが、自分の仕事として意識し、考えて動く組織でなければならないと森社長は語っています。それがひいては、同社が経営理念として掲げる「すべてが幸せになるための会社づくり」につながるのだという考えです。


▲フルオートバンドソーで鋼材を切断

給与明細には手書きの一筆箋
年末には配偶者へ贈り物を

 人づくりについては、昔の「見て覚えろ」ではなく、作業者ごとに教育計画を立て、PDCA(計画→実行→評価→改善)で回すほか、社内検定制度を設けるなど、現場の実際の作業の中で人材を育成するシステムを確立させています。
 このように、ホスピタリティマインド(おもてなしの精神)で従業員が安心して働ける環境作りを担うのは人事総務課。「ものづくり企業は生産部門が重視されるけれど、こうした人事総務課の存在は重要です」と語る森社長自身もまたホスピタリティマインドにあふれていて驚かされました。
 毎月、社長から手渡される給与明細の入った袋には、一人ひとりに宛てた社長の手紙が入っているほか、毎年年末には、社員の妻に向けてクリスマスカードと贈り物を届けられるそうです。「家族の理解があってこそ、社員も頑張れるわけですから」。
 今後は、大型テーマパークや大阪万博のパビリオンなどで当社の製品、技術が活かされれば、従業員にとってもモチベーションアップにつながるだろうと森社長。さらに、自社が育ててもらったように、自らベンチャー企業を発掘し、その成長を見守る事業も行ってみたいと語っています。ものづくりのDNAが息づく堺の企業であることの誇りを胸に、同じく他の堺のものづくり企業と一丸となって、何かを生み出せたらという夢も熱く語っていました。


▲顧客の要望に応じて、小ロットでも打ち合わせから設計、製作、組立てまで一貫したものづくりを行っている。

有限会社関西貿易

代表者名代表取締役 森 勲
本社堺市中区土塔町2158-1
TEL072-230-3987
設立1996年設立
資本金300万円
従業員数46名(パート従業員を含む)
事業内容産業機器の設計・製作および改造メンテナンス、金属・鋼材・表面・熱処理などの各種加工、試作品設計・製作など
ホームページ http://kansaitrading.co.jp/

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