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堺IPC PRESS 2025.7 Vol.76

PICKUP!

4月の開幕から3ヶ月。連日、多くの来場者で賑わっている大阪・関西万博の運営を支える堺の企業をご紹介します。

  • モアコスメティックス株式会社
  • 株式会社MIZUKEN
  • 株式会社をくだ屋技研

株式会社をくだ屋技研

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万博デザインのキャッチパレットトラックが
バックヤードで活躍

代表取締役社長CEO奥田 智

荷役運搬機械のトップメーカーとして知られる株式会社をくだ屋技研。大阪・関西万博には、「万博TDMパートナー」として万博デザインのキャッチパレットトラック23台を無償貸与し、バックヤードで万博の運営を支えています。

誘致活動中から大阪のものづくりのアピールにひと役

1934年の創業から90年余りの歴史を刻んできた株式会社をくだ屋技研。法人化した1954年から培ってきた油圧ポンプの技術を礎として、現在では荷役運搬機械や環境機器の製造・販売を行っています。
同社の強みは、製品の研究開発から製造、アフターケアまでを自社で一貫して担う完成品メーカーであることで、なかでも同社が日本で初めて開発したキャッチパレットトラックは業界シェア50%を誇っており、運搬の合理化や省力化に不可欠と高い評価を得ています。
大阪・関西万博では、このキャッチパレットトラックを23台無償貸与しており、物流倉庫やサブストックヤードで活用されています。
「万博については、関西経済連合会の一員として、誘致活動から参加していました。博覧会国際事務局が開催候補地として大阪を視察したときには、大阪のものづくりをアピールするものとして当社の製品も展示しました。関西の経済界が熱心に万博誘致に取り組んでいるのを間近に見てきたので、決定した時には当社しかできないことで協力したいと考えました」と奥田智社長は語っています。

得意先との商談や社内のミーティング、休憩室としても利用される人気のOKUDAYABASE。
万博に参画する目的と意義を全社員と共有

同社が万博に貸与したのは、約1トン半までの重量ならどのようなものでも運搬できる汎用性の高い標準型のキャッチパレットトラックです。万博カラーでオリジナルにデザインされました。
こうしたことの一つひとつを日本国際博覧会協会とやりとりする窓口として、社内に藤田善弘財務部部長ら5名のメンバーで構成されるチームが作られましたが、奥田社長は、社員全員と万博に参画する目的や意義を共有することが重要だと考え、社員全員に一人3枚までのチケットを贈るとともに3つの目的を示しました。
「1つ目は、大阪のものづくり企業として、当社が得意とする製品で役立ちたいということです。2つ目は、当社の製品が万博の運営に貢献していることを社員たちと体感し、それが当社のレガシーとなればと考えました。そして3つ目は、万博のテーマにもある『未来社会』で求められる企業の姿を知ることで、当社の持続的成長につなげることです。協賛にあたっては、社会との関わり方や環境問題への意識など相当数のチェック項目を審査されますが、それらは未来における調達コードでもあります。それらをひと足早く知ることで、当社の事業のあり方にも反映できます」。

仕切りのないオープンなフロアで自社製品の設計・開発を行う開発戦略部。
環境問題にも注力し未来社会を見据えた事業展開を

「『いのち』を尊重し、持続する未来を創るという今回の万博のテーマはすばらしいと思いますし、小さなこどもからご高齢の方までが参加できる夢あるイベントだと思います。そこにものづくり企業として参加できたことはとてもありがたいことです」と語る奥田社長。
大阪万博(EXPOʼ70)が未だに多くの人の心に残っているように、今回の万博も後世に残るものにしたいと、社員に贈るチケットは記念品となるパスポートサイズのプラスチック製カードにしました。また、閉幕後に戻ってくる万博オリジナルデザインのキャッチパレットトラックは社内で展示したり使用したりするほか、協力会社にも記念として贈呈する予定です。
「我々の仕事は、人が運べない重たいモノなどの運搬といった課題解決ですが、将来はそれが人になったり、運搬方法自体が新たな課題となったりするかもしれません。我々の創業の原点である研究開発を今後も真摯に追求し、当社が得意とする小ロットでも高付加価値な専用機で、圧倒的な供給力を持つ海外製品との競争力を高めていきたいと考えています」。
同社では、すでに工場のエネルギーを全て再生可能エネルギーで賄っているほか、今年3月には世界初の環境配慮キャッチパレットトラックを発売しました。従来の作動油に代えて「水系制御液」を使用するもので、環境負荷の低減に寄与するものとして期待されています。
そして、中国とマレーシアの海外拠点に日本を加えた3拠点を軸に、アセアンやヨーロッパへ事業を拡大していきたいと語る奥田社長。未来社会を見据えた事業展開はすでに始動しています。

新工場では、自社製品の耐久性を確かめる試験や検査なども行っている。

経営のキモ

荷役運搬機械のパイオニアである同社は、製品力と環境対応を両立した経営を推進。主力製品のキャッチパレットトラックは、業界50%のシェアを誇ります。大阪・関西万博では万博仕様の同製品を無償貸与し、運営を支え続けています。

株式会社をくだ屋技研

代表者名 代表取締役社長CEO 奥田 智
本社 堺市美原区丹上263
TEL 072-362-2111
設立 1934年創業 1954年設立
資本金 9,650万円
従業員数 124名
事業内容

荷役運搬機械や環境機器の製造・販売

ホームページ https://www.opk.co.jp/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=22259

株式会社 MIZUKEN

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大阪・関西万博開催前の
水質調査・分析をサポート

代表取締役会長待田 裕美

環境調査・分析、測定のリーディングカンパニーとして、今年創業50年を迎えた株式会社MIZUKEN。長年、培われたノウハウを活かし、開催前の大阪・関西万博のウォータープラザで使用される大量の水について水質調査・分析をサポートしました。

業界トップクラスの陣容で1日400検体以上を分析

今年4月に社名を、株式会社総合水研究所から「株式会社MIZUKEN」へ。その理由を待田裕美会長は「当社は現在、水質調査だけでなく、大気や土壌、騒音、振動、アスベストなど、環境に関する調査・分析を幅広く手がけており、「水質分析」の印象の強い旧社名を以前から変えたいと考えていました。創業50周年の節目にあたり、これまで親しまれていた通称”みずけん”をアルファベット表記にして正式な社名としました」と語っています。
同社の所有する分析装置の台数や、技術士や環境計量士、公害防止管理者など多種多様な資格取得者を含めた約200人の従業員数規模は業界トップクラスで、日本水道協会や日本品質保証機構、浄水器協会の3機関の委託試験場に認定されているのも国内では唯一同社だけです。いろいろな企業から集まる検体は1日に400以上。それらを独自に開発した自動化装置などを駆使して効率的に検査しています。
大阪・関西万博では、開催前に海に張り出した大屋根リングの内側に設けられた約8800m2の水上スペース「ウォータープラザ」で大量に使用される水の水質調査・分析で協賛しました。
「開幕1年前ぐらいに、ウォータープラザの水質についての基準が定まらずに難航しているという話を耳にし、当社の本業である水質分析で万博開催を支援できればと、協賛を申し入れました」。

同社では最新の有機フッ素化合物(PFAS)測定装置を導入し、分析・試験・除去の対応を強化している。
開幕までの10ヵ月間取水口付近の水質を調査・分析

万博の開幕後、大変な人気を誇っているウォータープラザのスペクタクルショー。水のスクリーンや噴水などの水も海から取水されているものです。
同社では開幕1年前、まず現状の水質を把握することが重要だと提案。何度かの打合せを重ねて正式に協賛が決定してから同社の提案が受け入れられ、今年4月までの約10ヵ月、取水口付近の2ヵ所のプランクトン、臭気、有機物、菌類などを調査・分析しました。
「それが、期間中の水質の安全性を把握するのに有効だと考えました。ウォータープラザ内の水質基準を定めるのにも、それと決めたエビデンスが大切なのです。最終的に海水浴場やトライアスロンの会場などと同じ遊泳用の基準を参考とすることになりました」と待田会長。
同社ではその他、浄化方法を提案しました。開幕直前に発生した植物プランクトンには天然鉱物を使って凝集沈殿させるなどの対策も行いました。これまでオリンピック会場やテーマパークなどに豊富な実績を積み重ねていることが同社への高い信頼につながっているようです。

万博会場のこどもたちにも人気のあった顕微鏡はアスベストなどの分析に欠かせない。
次世代へのテーマは「超純水」ナノ・ピコの世界の分析に挑みたい

ところで同社は4月に、大阪ヘルスケアパビリオンの「リボーンチャレンジ」にも出展していました。
「私自身が大阪万博(EXPOʼ70)を10代で体験し、その時に感じたワクワクドキドキは、今も忘れることができません。それから55年が経って、再び同じ大阪の地で開催される万博には、当社の本業である水質分析をテーマに次世代のこどもたちにも何か心に残ればと、実体験型の『ウォーターラボ ミュージアム』を出展しました。こどもたちの描いた魚などの絵がスクリーンの中で泳ぎ出す演出は大好評で、想定していた千人を軽く超え、さらにお断りしなければならないほどのこどもたちが集まってくれました。会場には特に若い社員を赴かせましたが、大きな反響に喜んでいました」。
そして、待田会長が次世代に向けて挑戦したいと語るのは、国内で数少ない企業しか手がけていない「超純水」の調査・分析です。
「国も注力している半導体製造に超純水は欠かせないもので、ますます需要が高まることでしょう。当社がターゲットに考えているのは半導体の製造装置メーカーです。これまでマイクログラムまで測定できていますが、超純水となればナノ・ピコグラムまでの測定が求められます。かなり多額な設備投資が必要なほか、何より非常に高度な技術を要するもので、実際できるかどうか不安ですが、ここは会社を上げてチャレンジしたいと考えています」。
百年企業を目指す折り返し地点を迎えた同社は、新たなフィールドへ踏み出そうとしています。

環境分析センターでは、各分野の調査・分析を行うほか、人材育成、技術力向上を目的とした(一社)分析研修センターが併設されている。

経営のキモ

環境分析のリーディングカンパニーである同社は、創業から半世紀にわたり、技術と品質を追求し続けてきました。国内唯一の多機関認定試験場としての信頼と、大阪・関西万博開催前の水質管理協力が同社の存在感を高めています。

株式会社 MIZUKEN

代表者名 代表取締役会長 待田 裕美
本社 堺市堺区神南辺町1-4-6
TEL 072-224-3532
設立 1975年設立
資本金 5,000万円
従業員数 200名
事業内容

調査・分析・測定、各種実験・試験、認証サポートなど

ホームページ https://mizuken.com/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=372

モアコスメティックス株式会社

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会場内の全トイレに低刺激性
洗浄成分のハンドソープを提供

代表取締役 亀田 宗一

1995年の創業来、「アレルギーゼロの実現」を目指してきたモアコスメティックス株式会社。大阪・関西万博には、ブロンズパートナーとして会場内の全トイレの手洗い場に、同社が独自に開発した低刺激性洗浄成分のハンドソープを提供しています

独自開発の低刺激性洗浄成分 全製品でエビデンスを取得

かつて界面活性剤を使った洗浄剤の開発に携わっていた時に自身が肌荒れで悩んだ経験から、肌に優しく安全な洗浄剤の開発に取り組んだという亀田宗一社長。10年をかけて酢の主成分である酢酸を活かした低刺激性洗浄成分「ラウレス-3酢酸アミノ酸」の開発に成功。特許も取得しています。
現在は、「洗う」「補う」「護る」「粧う」の4つの観点から、「ラウレス-3酢酸アミノ酸」を使ったシャンプーや24時間パッチテストをクリアしたトリートメント、スキンケア製品などを展開しており、その原料選定から処方設計、生産までを自社で一貫して行っています。特にこだわってきたのは、安全性を裏付けるエビデンスです。
「当社では、全ての製品に24時間パッチテストを実施しており、洗浄成分のラウレス-3酢酸アミノ酸を直接肌に塗布しても刺激の出ないことが第三者機関によって実証されています。そのため、深刻なアレルギー症状など、お肌に悩みのある方から大きな支持をいただいています。例えば、保湿の効果効能は多くのメーカーで個人的な感想にとどまっていますが、当社は効果をデータ化し発表しています。また、紫外線にはA波とB波があり、肌が真っ赤に焼くB波への効果がよく謳われますが、30年後にシミやシワとなって影響が出るのはA波です。当社はB波だけでなくA波も防ぐ効果のデータも公表しています」と亀田社長。このように早くからエビデンスを取得していたことから高い信頼を得て、大阪・関西万博への協賛も円滑に決まっています。

大阪・関西万博に提供されたハンドソープ。
同社2階には、講習や製品試験が行える美容サロンを設置。
ブロンズパートナーとして30トンのハンドソープを提供

同社は4月に大阪・関西万博で、優れた中小企業が新技術を出展する大阪ヘルスケアパビリオンの「リボーンチャレンジ」に参画しており、そこで訴求した「ラウレス-3酢酸アミノ酸」の効果を来場者に体感してもらうため、大阪ヘルスケアパビリオン内のトイレにハンドソープを提供することになっていました。しかし、亀田社長の「大阪・関西万博のテーマにある”いのち輝く”にふさわしく、肌の細胞を壊さないラウレス-3酢酸アミノ酸を使ったハンドソープを、会場内の全てのトイレの洗面所に設置したい」という申し入れにより、総量30トンが提供されることになりました。2億円を超える協賛により、同社はブロンズパートナーに認定されています。
そして、万博の開幕直後から驚くことが起こりました。洗面所で同社のハンドソープを使用した来場者によるSNSへの「万博会場のトイレのハンドソープがすごい」という書き込みが相次いだのです。手洗い後に肌がかさつかず、しっとりした使用感が残ることと、とても良い香りがすることが評判になっており、同社に直接「ハンドソープを購入したい」という連絡も入っているのだといいます。

トリートメントや洗顔製品を作る真空乳化窯は、製品の品質を保つためあえて小さいサイズのものを使っている。
国内外からの大きな反響が新たな販路開拓のヒントに

「ハンドソープは今回、万博のためだけに製造しました。好評のグレープフルーツの香りも、石けん臭のないラウレス-3酢酸アミノ酸をベースに使っているから実現できた調香です。あまりに反響が大きいので、オンラインで万博と同じ仕様のハンドソープを数量限定で販売することにしました。今回の経験により、エビデンスのしっかりしたものづくりをしていれば、多額の宣伝費をかけたり特別なSEO対策をしたりしなくても、きちんと効果効能は伝わることを実感しました。今後は、従来の理美容サロンやエステサロン、皮膚科医院などの販路に加え、一般の方に向けたオンラインショップにもより一層注力したいと思っています」と亀田社長。
リボーンチャレンジの展示で30ヵ国語に対応したデジタルサイネージを設置したところ、特に環境問題に高い意識を持つヨーロッパ圏の人たちから興味が示されたとか。今後は東南アジアや欧米への販路拡大も視野に入れたいと考えています。
「創業30周年の記念すべき年に万博の運営に関わり、社員のモチベーション向上につながったほか、私の高校や大学の恩師たちからも褒めていただきました(笑)。何より万博で、25年後の未来を提案できたことを誇りに思います」。

作られた製品は、充填・定量測定・梱包作業など各工程でのチェックを経て出荷される。

モアコスメティックス株式会社

代表者名 代表取締役 亀田 宗一
本社 堺市美原区木材通4-12-15
TEL 072-363-5151
設立 1995年設立
資本金 1,000万円
従業員数 49名
事業内容

医薬部外品や化粧品の製造・販売

ホームページ https://www.morecosmetics.co.jp/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=5439