インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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現場の小さな不満を社員の新しい発想で解決するものづくり 株式会社 結一産業

建築用副資材の開発・製造を手掛ける株式会社結一産業。建設現場で聞き出したリアルな"お困りごと"を解決するソリューション型ものづくりで急成長を遂げています。製品の約80%が自社オリジナルだという同社のものづくりへの思いなどを伺いました。

既製品の改良から始まった自社独自の製品づくり

 「本当にカタチにしてきてくれたんだ」と建設現場の人たちから感動と感謝の言葉を掛けられることが嬉しいと松本良生社長。1992年に創業した時から「存在理由のある企業」を目指して自社独自のものづくりを目指してきたと言います。
 「とは言っても、最初は何を作ればいいかわからず、前職で樹脂製品を取り扱っていた知識を活かしブルーシートなどの養生資材や工事現場作業用品などを販売していました。そうしたなかで既製品に改良を加えることからスタートしたのです」。
 他の真似ではないオリジナルをという強い思いは2003年に法人化した折に命名した「結一産業」という社名にも表れています。音楽ビジネスの先駆け的存在だった「ユイ音楽工房」や農村で互いに助け合った共同体「結」、そして「唯一」に通ずる言葉として名付けられたのだとか。
 2014年に中国に心強い協力会社を得た事が、現場からヒントを得たアイデアを製品化する上で大きな強みとなりました。さらに7年前、同社のオリジナル製品のラインナップが一気に拡大する転機が訪れます。


▲品揃え豊富な倉庫から出荷される製品の数々。

現場に強い企業をパートナーに一気に拡大させた自社製品

 「7年前に建設現場に強い日建株式会社とパートナーシップを結びました。同社は建築金物や建材、木材などの配送を通して建設現場に深く入り込んでおり、日建の社員に同行することで、現場の声を多く聞けるようになったのです」。
 面白いのは、その声もすぐに具体的な製品に結びつくものではなく、松本社長いわく「雪だるまの芯のようなもの」だといいます。小さな不満、不便を誰かが聞きだしたら、他の現場で何人にも同じことをヒアリングして回ることで開発の精度を上げるのだとか。「建設現場といってもマンションか工場か物流倉庫かで、また同じマンションでも中層か高層かで作業用品は異なってきます。以前にお一人の方の声だけで製品を作って大量の在庫を抱え込むという失敗もありました」。
 そうしてこれまでに誕生した製品は、休憩時などで着脱するフルハーネスとヘルメットを掛けておける安全ラックや、玉掛け作業時の安全確保のために国が推奨する「333運動」(吊り荷から3m離れて、地切り30㎝で一旦停止、3秒間停止して確認)をわかりやすく補助する「333運動介錯用ロープ」など、約600アイテムに上ります。なかでも松本社長が最も思い入れを持っているのは、「タイヤ付きフレコンスタンド 台ゴローDX」です。
 「現場の産業廃棄物を保管・運搬するのに使用するフレキシブルコンテナバッグを移動させる台車のタイヤが現場の土に食い込んで動かず困っているということでした。そのお困り事を解決するために台車の形状やタイヤを付ける位置で試行錯誤を繰り返し、製品化までに1年以上を費やしました。その甲斐あって、『うちでも取り扱わせて欲しい』という電話を大手通販会社などからたくさんいただきましたし、得意先の反応も変わりましたね。新しい発想でものづくりすることの優位性を強く実感し、当社はこれで変わると確信できた記念すべき製品です」。




▲営業ミーティングで出たさまざまな意見を製品に反映。

将来の上場を目指し社員がワクワクできる企業へ

 順調に成長するなかで松本社長はさらに、米国の経営書『ビジョナリー・カンパニー』の中で説かれている「時代を超えて際立った存在であり続ける企業」であるための3つのポイント「社員がワクワク楽しいと思える仕事」「利益を確保」「No.1になる」を実践すべく動き始めました。
 「それまでの製品づくりは私が主導していましたが、それでは社員たちがワクワクしない。社員自らが製品づくりに関わる会社を目指すことにしたのです。まず営業部は開発営業部と名称を変え、製造の現場を学ぶために中国の協力会社へ研修に出したりもしています。さらに週に1回、経営やマーケティングを学ぶ勉強会を開いています。参加は自由ですが、最初は数人だったのが今では十数人が参加しています」。
 将来的には、取り扱い商品を100%自社ブランド「YUYPRO」のみにしたいと語る松本社長。今年には持株会社化を予定しており、今日大手プロショップなどに押されて廃業を余儀なくさせられている建設用品関連企業とさらにパートナーシップを結んで、上場を目指す考えです。


▲できあがった試作品のチェックも営業の大切な仕事のひとつ。
特集 企業のターニングポイント

7年前に建設現場に強い企業とパートナーシップを結ぶことで、オリジナル製品が一気に拡大する転機が訪れました。今後も、現場の要望やお困り事など生の声を吸い上げ、開発の精度を上げることで、100%自社ブランド化を目指されています。


株式会社結一産業

代表者名代表取締役 松本 良生
本社堺市北区南花田町403-6
TEL072-251-3504
設立1992年創業 2003年設立
資本金1,000万円
従業員数24名
事業内容建築副資材の開発・販売
ホームページhttps://yuy.co.jp/
さかしる掲載ページhttps://sakacil.com/detail/?id=3423

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