環境ビジネス情報発信 コラム

環境ビジネス情報発信 コラム Vol.33

さかいIPC環境ビジネス研究会
環境ジャーナリスト 富永 秀一
富永 秀一氏

Vol.33「太陽光発電で安定収益(2)」

まずは設置場所

中小企業の皆さんが、太陽光発電の活用を検討される場合、まず必要になるのが設置場所です。

○建物の屋根
つけやすいのは、建物の屋根です。
特に、一般的な住宅のように傾斜がある屋根であれば、比較的安い工事費で設置することが可能です。

向きは南向きがベストではありますが、東西であっても両面に設置すれば、南向きにかなり近い発電量を得ることが可能です。

ただし、屋根が古すぎたり、強度が足りなかったりして設置できないこともあります。どんな屋根につけられるかは、メーカーの方針や、施工業者の技術などによって、結構幅がありますから、ある業者から無理だと言われても、別の業者であれば難なく設置できるということも良くあります。

屋根が平らな、いわゆる陸屋根の場合、傾斜をつけて固定するための基礎や架台の工事が必要で、一般的に設置コストが高くなります。

最近は、重量増、コスト増の原因となるコンクリート製の基礎を作らずに固定する方法も色々と出てきています。
ただし、コスト優先で傾斜をつけずに固定すると、太陽光が当たる角度がきつくなって発電量が減りますし、雨によって汚れが流れ落ちる効果が薄くなりますから、あまりお薦めしません。

○遊休地
遊休地を活用する場合、造成済みの土地であれば楽ですが、荒れ地や森林、古い建物がある土地などだと、事前に、設置可能な土地にするためのコストがかかります。
また、設置にも、陸屋根と同様、基礎や架台がいりますから、それなりにコストがかかってきます。
こちらも、コストを抑えるため、基礎コンクリートなしで、杭を打ち込んで固定する方法なども行われています。

さらにやろうと思えば、今使っている土地の上部を利用できる場合もあります。

例えば、高さ数メートルの支柱を立てて設置するタイプの追尾式太陽光発電システムなら、平面式の駐車場や、通路などで、邪魔にならない所に支柱を建て、上部の空間で発電することが可能です。

採算性は?

こうして見ると設置可能な場所が思い浮かぶ方はかなりいると思いますが、問題は採算性です。投入した資金を回収するのは当然として、どの程度の収益が期待できるのかは、どんな場所に、どの位の太陽電池パネルを設置できるのかなど、様々な要因によって違いが出てきます。

○10キロワット未満の場合

設置場所が狭く、10キロワット未満のパネルしか置けない場合、発電した電気は、まず施設内で消費し、余った電気だけ売れる余剰買取となり、買取価格は1キロワット時あたり38円で、買取期間は10年です。

それでも、屋根であれば、日当たりに問題がなければ、採算が取れる可能性はあります。
ポイントは施設内での消費電力量でしょう。昼間に大量に電気を使っていると、発電した電気を売れる量が減るため、採算性が悪くなります。
ただし、低圧電力と従量電灯の二つで電力会社と契約しているような場合、従量電灯の方で売買電すれば、十分に電気を売れる場合もあります。

遊休地に設置する場合、それなりにコストがかかる場合が多いため、10キロワット以上設置できないと採算性は良くないと思われます。

○10キロワット以上の場合

10キロワット以上設置できる場合、発電した電気がすべて売れる全量買取りになり、買取価格は 1キロワット時あたり37.8円で、買取期間は20年になりますから、屋根の場合でも、遊休地の場合でも、かなり採算を取りやすくなります。

投入資金の回収は10年以内にできることが多く、そうなれば残りの期間、十分な売電収入を得ることができるでしょう。

ただし、できるだけたくさん設置した方が良いかというと、そうでもないケースがあります。

○50キロワット以上の場合

出力50キロワット以上の場合は、高圧で電力系統に接続する必要があり、その場合、キュービクルという変圧装置を設置しなければならず、電気主任技術者という、電気の専門家を決めておかなければならなくなります。

キュービクルは数百万円かかりますし、年間十数万円の点検費用もかかります。

ですから、多少であれば、50キロワット以上の設置が可能であっても、50キロワットまでに抑えた方が得と言えます。

広大な面積が空いていて、何とか活用したいということであれば、もっと設置しても良いと思いますが、その場合計画段階で電力会社と協議する必要があります。

変電所より上流に電気を送れるようになった

大規模な太陽光発電施設を作ると、当然、大電流が電力系統に流れていきます。ところが、最近まで変電所の配電用変圧器をさかのぼって電流を流す(バンク逆潮流)ことは認められていませんでした。

つまり、最寄りの変電所から電気を受けている範囲内で消費できる量を超えて発電してもらっては困るということで、電力会社が接続を拒否したり、より遠い変電所への接続を求めたため、大規模太陽光発電所を計画していた事業者が計画の修正を余儀なくされたり、断念する例が続出していました。

実は今回、その接続拒否の問題を書こうと思っていたのですが、2013年7月に状況が改善されました。

「電力品質に係る系統連系技術要件ガイドライン」および「電気設備の技術基準の解釈」という事実上の規制が改正され、電力系統への影響を配慮した対策を取れば、変電所より上流に電気を流すことができるようになったのです。

事業者は、バンク逆潮流の可能性がある場合でも、電力会社が行う電力系統安定化対策のための工事負担金を支払うことで、接続することができるようになりました。関西電力の場合、この負担金は、発電設備1キロワット当たり2,835円となっています。

これで、各地で滞っていた大規模太陽光発電施設の計画が動き出す事が期待されます。

次回は、実際に太陽光発電の導入を決めて以降の注意点などを書いてみようと思います。


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