環境ビジネス情報発信 コラム

環境ビジネス情報発信 コラム Vol.11

さかいIPC環境ビジネス研究会
環境ジャーナリスト 富永 秀一
富永 秀一氏

Vol.11「再生可能エネルギー普及国債を発行しよう」

総理のアドバイザーになったつもりで考えてみた

長期のデフレ、不景気、超円高、多額の政府の債務。高齢化に少子化、市場の縮小。震災からの復興や原発事故の対策に多額の資金が必要であると分かっていても思い切った手がなかなか打てない現状。

問題山積で、打開策が見いだせないまま、時だけが過ぎています。

「何とかならないものかね。」「何とかしてもらいたいねぇ。」と嘆いていても、それで現状が打開できるはずがないので、この状態から、どうすれば脱却できるか、自分が総理のアドバイザーなら、どう助言するか考えてみました。別に現在の野田総理という事ではなく、日本がどんな方向に向かうか、道筋を示す立場の人からアドバイスを求められたとして、考えてみたわけです。

こうした大きな事を考える時には、それぞれの問題の対症療法だけ考えていても、抜本的な解決に結びつけるのは難しいものです。

そこで、どんな条件が実現できれば、それぞれの問題が改善するか考えてみました。すると、ポイントが幾つか見えてきました。

閉塞した日本の現状を打開するには

①通貨の流通量を増やす。②経済を成長させる。③政府の債務をむやみに増やさない。といった所でしょうか。

グラフ①でおわかりのように、各国が様々な金融政策を行って、通貨の供給量を増やしているのに対し、日本はほとんど増えていません。

通貨量が相対的に少なくなっているのですから、円高になるのは当然とも言えます。

日本でもゼロ金利政策など、それなりに金融緩和をしていますが、その資金は新規事業への投資ではなく、安定した国債などに向かっていて、その国債で得た資金の使い道も、社会保障や、国債の償還など、経済拡大につながらない割合が高いため、流通量が増えないのです。

お金はどんどん回ってこそ、経済拡大になり、税収増にも繋がっていきます。

経済を成長させるため、国ができる事には、規制緩和や、成長分野の補助、公共事業などがあります。

規制緩和は、まだまだ足りません。日本は様々な分野で、がんじがらめの規制があり、新たな事業を立ち上げるのが難しいのが現状です。再生可能エネルギーの分野など、規制を取り払い、もっと多くの企業が、容易に参入し、事業を拡大できるようにする必要があります。

成長が期待できる分野に積極的に補助金を出したり、事業者が資金を調達しやすいよう債務保証をする事も、将来、国の経済を成長させる柱を育てるのですから、大切な事です。

公共事業は即効性があります。国などが仕事を発注するわけで、経済の拡大、活性化に繋がります。

ただし、補助金を出すにも、公共事業を発注するにも資金が必要です。③の政府の債務をむやみに増やさない事との両立が必要です。

再生可能エネルギー発電の公共事業をジャンジャンやろう

そこで、私なら、再生可能エネルギーによる発電所を建設する公共事業を、ジャンジャンやる事を提案します。

太陽光発電、太陽熱発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、小水力発電、潮力発電など、日本各地に使い切れない程溢れている再生可能エネルギーで発電をするのです。もちろん、安定供給、出力調整が容易なものを優先します。

発電施設の建設、バイオマス資源の生産、収穫などの仕事が莫大に発生しますから、経済は活性化します。お金が回転し始めますから、通貨の供給量も増えて、デフレから脱却し、極端な円高も解消されていくでしょう。

財源は財政を悪化させない「再生可能エネルギー普及国債」

ジャンジャン公共事業をやるといっても、財源はどうするのだ、と思われるでしょう。

財源は国債です。しかし、財政を悪化させない国債です。

一般的な国債にしても建設国債にしても、財政悪化になるのはどんな場合でしょうか。それは、国債で得た資金で行った政策によって増えた税収などが、国債の償還に必要な資金より少ない場合です。例えば、通行量が非常に少ない道路の建設に使った場合、その道路ができた事によって増える税収が少ないため、国債を発行した事によって赤字が増え、財政が悪化する事になります。

しかし、再生可能エネルギー普及国債は、ほぼ確実に、償還に必要な資金以上、国庫の収入が増えるので、財政は悪化するどころか、改善する可能性が高いのです。

その仕組みは、こうです。再生可能エネルギーによる発電所の適地や機器を選定するまでは一般財源で行い、採算性の良い発電所を作る準備ができた所で起債し、建設資金を調達します。

発電所が完成したら、発電所は当面国有とします。運営は、再生可能エネルギー公社のようなものでも良いでしょうし、民間委託しても良いでしょう。

売電で得た収入は、一定の運営コストを除いて、再生可能エネルギー普及国債の償還資金とします。年間に必要な償還資金を越える売電収入があった場合は、税外収入として国庫に入れます。

国営発電所で経済活性化

このように国営の発電事業が盛んに行われるようになれば、民間からも安心して再生可能エネルギー事業に参入する企業が増えるでしょう。国営事業がある限り、再生可能エネルギーによる電気の買取金額が、採算のとれないような低価格になったり、買取が打ち切られたりといったリスクを心配しなくて良くなるからです。

今の再生可能エネルギー普及法では、電力会社が、一般の発電と比べて再生可能エネルギーによる電気を購入することで増えたコストを、電気代に上乗せできる事になっています。

再生可能エネルギーの買取が増えると、どんどん電気代が上がる心配があります。高くなりすぎる場合は、原子力発電関連の年間数千億円の予算を大幅カットして、電気代の上昇分を一部補填しても良いと思います。

しかし、再生可能エネルギーは、バイオマスなど一部を除くと、エネルギー資源自体は無料で、施設にお金がかかるだけですから、発電コストはどんどん安くなっていくでしょう。一方で、化石燃料の価格は、今後ますます上昇する可能性が高いので、一般の発電とのコスト差は縮まるでしょうから、電気代を上乗せする必要はなくなるかもしれません。

再生可能エネルギーの比率が高まれば、それだけ、電力の安定供給につながりますし、国産のエネルギーが増える訳ですから、輸入エネルギー資源の価格変動の影響を受けにくくなり、国内企業は安心して経済活動に取り組めますし、海外の企業も日本に流入してくるかもしれません。そうなれば雇用も拡大し、税収も増えます。

発電開始から10年、20年と経って、国債を無事償還したら、国営を続けて、税外収入を得ていってもいいでしょうし、民間に払い下げても良いでしょう。

経済が活性化して、デフレ解消につながり、円高も緩和され、しかも財政も悪化しない、メリットが大きい政策だと思うのですが、いかがでしょうか。

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