環境ビジネス情報発信 コラム

環境ビジネス情報発信 コラム Vol.8

さかいIPC環境ビジネス研究会
環境ジャーナリスト 富永 秀一
富永 秀一氏

Vol.8「省エネ(3)夏の電力ピーク対策」

関西電力管内も電力不足の可能性

福島第一原発からの放射能漏れが続き、事故が長期化する中、原子力発電に対する風当たりが強まっています。

原発が定期点検等で停止した後、再稼働する際に必要な、立地県の知事の同意も容易には得られない状況です。

関西電力の電源設備構成比

グラフ1 関西電力の電源設備構成比
※平成23年度関西電力グループ経営計画より作成

関西電力は最大供給力の25%が原発であり、このまま、停止した原発が再稼働できない状況が続けば、早晩、供給力不足の可能性が出てきます。

事業者の皆さんとしては、「誰かが何とかしてくれるだろう」と期待するのではなく、「何ともならない」可能性がある以上、最悪のケースに備えておきましょう。

そこで今回は、ピーク電力を抑える必要が出てきた場合、どうすれば良いのか考えてみましょう。

単なる省エネとピークカットは違う

まず確認しておきますが、電力の供給が足りなくなった場合に必要になるのは、「ピーク時の電力需要を抑える」事であり、夏の冷房需要がピークとなる数日~数週間(天候による)の、長くて午前10時~午後6時頃だけ、気をつければよく、それ以外は普通に操業して良いという事です。

例えば、省エネという観点からは、白熱電球を電球型蛍光灯やLED電球に交換するという対応は意味がありますが、もし、日中は消灯している場所であれば、ピーク電力には関係ありません。

また、ノー残業デーを設けるとか増やすという対応も、全体の消費電力量の削減にはなるかもしれませんが、ピークカットとしての効果はないどころか、夕方以降に回さないように仕事を日中に詰め込む訳ですから、かえってピーク時の消費電力が増える可能性すらあります。

敵を知ろう

一体、昼間は何が電力を消費しているのか、敵を知らなければ有効な闘いはできません。
職場のコンセントに繋がっている機器、電力室やビルが直接管理している機器を一つ一つチェックし、昼間に使われているものと、その消費電力をリストアップしてみましょう。

正確に知りたければ、自動的に消費電力を測定してくれる機器がありますので、必要であれば利用してみるのも良いでしょう。

リストを見て、消費電力が大きいものが冷房機器であれば、このコラムのVol.5「省エネ(1)空調対策」が、昼間でも点いている照明機器であれば、同Vol.7「省エネ(2)照明対策」が参考になると思います。

なお、空調対策の追加情報として、霧吹きの活用を提案したいと思います。弱めの空調では暑い場合、顔や首筋、腕などに霧吹きで水を掛けるのです。スーパークールビズで、ポロシャツなどを着ている場合は、服に掛けても良いでしょう。水が蒸発する時に周囲の熱を奪う、蒸発冷却効果によって、控えめの冷房でも、扇風機の風だけでもかなり涼しく過ごせます。

臭い対策として、水に少しアロマオイルを垂らしても良いかもしれません。

ずらしてみる

リストのうち、昼間は使わなくても問題が少ないものがあればチェックしておき、ピークカットが求められた際には消せるようにしておきます。

しかし、そもそも職場に、昼間使わなくても良いものなどあまりないのが実情でしょう。

そこで使い方を工夫します。一つは、時間をずらす方法です。

最大電力発生日の電力需要曲線

グラフ2 最大電力発生日の電力需要曲線
(2009年・10電力合成) ※電気事業連合会資料より作成

右の図のように、12時~13時には、昼休憩にともなう消費電力の谷間があります。これを地域ごと、会社ごと、あるいは職場ごとにずらす事で、ピークをなだらかにするのです。

時々、1時間時計を進める「サマータイム」を導入するところがありますが、昼間の明るさを利用して、照明のエネルギーを節約するという、省エネの対策であれば、一定の効果があるかもしれませんが、最大のピークは14~16時に来るわけですから、どちらかといえば、時間は後ろにずらした方が効果があります。
30分~2時間程度、休憩時間や始業時間を遅らせる、フレックスタイムを導入してみてはいかがでしょうか。

ただし、企業単独で見ると時間がずれただけで、ピーク時の消費電力は変わらないはずですから、地域や業界で協力して少しずつピークをずらすという努力が認められる必要があります。

各企業一律15%カットのような要求をされた場合は、電力需要のピークを抑える実効性はあっても、ピークカットの取り組みとして認めてもらえない可能性があります。

分担する

ずらすだけでなく、実際にピーク時の消費電力を抑える事が必要になった場合、分担するという方法があります。
どういう事かというと、例えば「計画停冷」をするのです。

四分割の「計画停冷」で各グループが冷房を止める時間

図1 四分割の「計画停冷」で各グループが冷房を止める時間

一番単純で効果が大きい例で言うと、オフィスのフロアや工場ごとに、冷房需要がおよそ半分になるようにグループ分けをし、ピーク時には、片方のグループが毎正時から30分まで冷房を止め、もう片方が、毎時30分から正時まで止めるのです。
実際には、稼働している時の冷房負荷が高くなるので、単純に半分とはいかないでしょうが、大幅に冷房による消費電力を抑える事ができるでしょう。

グループ分けを3つにすれば、1時間のうち20分間、4つなら15分間、冷房を止めるだけですから、あまり苦しい思いをせずにピークカットができます。

同様に、昼間に電気を使っている機器のリストを見て、分担ができるものがないか探してみましょう。

例えば、コピー機をグループ分けし、偶数日のピーク時間に消す機械と奇数日に消す機械を決めておけば、不便さを平等に分かち合いながら、ピーク時の消費電力を減らせます。

ピークカットが求められる事態になった場合、極力、業務に影響がでないよう工夫しながら、取り組んでいただきたいと思います。

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