環境ビジネス情報発信 コラム

環境ビジネス情報発信 コラム Vol.4

さかいIPC環境ビジネス研究会
環境ジャーナリスト 富永 秀一
富永 秀一氏

Vol.4「先進的な企業とそうでない企業の違い」

テレビ番組の取材で見えてきた違い

関西テレビと同じ系列の東海テレビが制作している、環境問題をテーマにした対談番組『素敵にTALK~環境立国への交響曲~』に関わって7年目に入りました。

この番組は、企業や団体のトップの方に、環境経営、環境対策等について語ってもらうもので、これまでに100人以上の方々にご出演いただいています。

様々な企業や団体のトップや、広報、開発、製造等、現場の方々に取材をしたり、出演に向けて交渉したりしているうちに、先進的な企業とそうでない企業を分ける、幾つかの傾向が見えてきました。

例えば、環境問題に取り組む姿勢に違いが出ます。

先進的な企業は、環境問題に真剣に取り組んでいます。

まじめに取り組まなければ、企業の存続に関わるし、逆に、時代を先取りした取り組みができれば、企業が成長できると考えています。

一方、そうでない企業には、環境対策は余裕があればやるとか、法律や規格で決められれば仕方なく、最低限やるという姿勢が見られます。

どうしてこんな差が出るのか考えてみました。

情報量の差

一つは、情報量の差だろうと思います。先進的な企業は、世界の情報を広く集めています。

すると、各地の環境がますます激しく変化している事や、世界的に環境問題に対する取り組みがどれだけ進んでいるかといった事が分かります。

偏った本や特定の人達、業界団体からだけでなく、広く、できるだけ客観的な数字や分析に基づいた情報を集めていけば、環境問題は、一過性の流行などではない事が分かってきます。

今をやり過ごせばすむ事ではなく、企業の単位で見れば、未来永劫取り組まなければならない事だと分かりますから、覚悟が違ってくるのです。

『素敵にTALK~環境立国への交響曲~』に
ご出演頂いた方々(一部。肩書きはご出演時)
トヨタ自動車 中川勝弘副会長
ユニー 前村哲路社長
中日本高速道路 矢野弘典会長
中部電力 三田敏雄社長
名古屋市 河村たかし市長
INAX 川本隆一社長
プロトコーポレーション 入川達三社長
シヤチハタ 舟橋正剛社長
リンナイ 内藤弘康社長
メニコン 田中英成社長
数十年先まで見越した対応

また、先進的な企業は、数十年先まで見越した上で、これから先も企業が存続し、成長して行くには、今どうすればいいか考えています。

例えばINAXは、2050年には、CO2排出量を1990年と比べて80%削減するという長期目標を掲げています。

そして、そのためにどうするのか、幾つかの方向性を打ち出しています。

一つは「ものづくりを究極までスリム化」すること。

これは、前回の「守り」と「攻め」で言えば、「守り」を固める事にあたります。

例えば、衛生陶器などを焼く時、窯で周囲の空気と一緒に熱するのは効率が悪いので、電子レンジのような方法で、そのものだけを熱する技術を開発中です。

もう一つは、「循環型社会に貢献するエコサービスを展開」すること。

これは新たな分野に「攻め」ていくという事です。

例えば、太陽熱を利用するシステムをセットにした浴室を開発するという話を聞いていましたが、実際に2010年4月、グループ会社のアイフルホームから、太陽熱利用エコキュートを組み込んだ住宅が発売されました。

この他、パナソニックが三洋電機を買収したのも、この先を見据えた時、太陽電池を商品メニューに持っておきたかった事と、ハイブリッド車やEV等、ますます必要性が高まる電池の部門を拡充する狙いが大きかったと考えられますし、ホンダが、グループ会社で新しい薄型太陽電池の販売を始めたり、コスモ石油が太陽熱発電所建設に参加したりしているのも、数十年先まで見越した上の展開でしょう。

トップの姿勢の違いは大きい

また、トップの姿勢も大きな影響を与えます。

例えば、名古屋市がレジ袋有料化をまず緑区で始めようとした時の事です。

東海地方に多くの店舗を展開している大手流通のユニーは、区内の3店舗すべてで有料化する事を、社長の決断もあり、早々に決めました。

レジ袋有料化が成功するかどうかは、その地域の大型店舗が参加するかどうかが、大きな鍵を握っていますから、この決定の効果は大きく、一部を除いて、多くのスーパーや薬局等が参加を決めました。

この事が名古屋市に感謝され、市長が社長に感謝状を贈ったり、有料化開始のセレモニーをユニーの店舗で行ったりしました。

有料化は大成功で、レジ袋の辞退率は88%に達し、ユニーは環境対策を積極的に進める企業として、イメージアップに成功しました。

一方、社内で有料化賛成派、反対派が別れ、トップの決断もなく、有料化を見送った一部スーパーでは、有料化していなくても、多くの人がマイバッグを持参してきますし、なぜ有料化しないのかと責める消費者までいて、数ヶ月後に遅れて参加しました。このスーパーは環境対策に後ろ向きな企業というイメージを持たれてしまったのです。

賛成反対で社内が割れるような時は、特にトップの決断力が大きな影響を与えます。

トップが、環境保護、環境対策を、おざなりにではなく、本気で力を入れてやるという強いメッセージを出していれば、社内の雰囲気が変わっていきます。

環境配慮型商品やサービスの開発は勢いづきますし、職場から様々な環境対策の提案が上がってくるようになります。

また、社員も、自社に対して誇りを持つようになります。

ちょうど年始でもあります。

皆さんも、今後を予想する情報を集めたり、長期的な視野に立った目標を定めたり、環境への取り組みを柱の一つに据えた、強いメッセージを社内外に発信したりしてはいかがでしょうか。

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