環境ビジネス情報発信 コラム

環境ビジネス情報発信 コラム Vol.3

さかいIPC環境ビジネス研究会
環境ジャーナリスト 富永 秀一
富永 秀一氏

Vol.3「環境対応は守りと攻め」

環境対策で守りを固める

企業は環境問題にどう対応すれば良いのでしょうか。

まず思いつくのが、「環境対策」です。

これは、言わば「守り」を固める事です。

具体的にはどんな事でしょうか。

●温室効果ガス排出量削減
自社で省エネをしたり、自然エネルギーを活用したりする事です。
●省資源
自社で消費する資源の使用量を削減したり、節水したりする事です。
●廃棄物排出量削減
廃棄物の発生を抑えたり、発生した物を廃棄せず再資源化したりする事です。

これらは、エネルギーや原材料、上下水道、廃棄物処理等のコスト削減に繋がる場合も多く、対策にかかる費用さえ見合えば、メリットを見出しやすい取り組みだと言えるでしょう。

では、次のこれはどうでしょう。

●有害物質削減
自社が出す大気、水質、土壌等を汚染する物質を減らしたり、鉛、フロン等、規制されている物質の使用量を減らしたりする事です。

これは、法律や規制、規格に従うもので、コスト増になる場合が多い対策です。ただし、最近は単なるコスト要因と見ない方が良いケースが出てきています。

先進的な取り組みが良質な仕事を呼び寄せる

最近は、取引先に環境配慮を求める、グリーン調達のガイドラインを定める企業や自治体が増えています。

きちんと対応していなければ、取引してもらえない、入札に参加できない、といった事態になるのです。

さらに、他社より早く、徹底して対応することが有利に働く事もあります。

なぜなら、発注者は、法令違反や偽装が心配だからです。

法律、規制、規格にギリギリのタイミングで最低限対応する企業は、社会よりも自社の利益に目が向いているか、そうしないとやっていけない程、経営状態が悪いのではないかと捉えられます。

これらは、法令に違反したり、偽装を行うような企業に共通する特徴でもあります。

すると、「規制をクリアしたと言っているが、誤魔化しているのではないか」と心配になるのです。

もし法令違反や偽装が明らかになった場合、発注者も、とばっちりを受ける可能性がありますから、そんな危ない企業との取引は控えようとする訳です。

一方、規制を先取りしたり、より厳しい自主的な基準を設けて達成しているような企業であれば、安心して取引できます。

優良企業ほど、大手企業ほど、環境対応を優先している企業と取引したがるのは、当然の流れなのです。

特に今回の不景気で、発注量が減り、受注者が余っている状態ですから、発注者が取引相手を選ぶ基準を厳しくしています。

多くの受注希望者の中から選んでもらおうとする時、先進的な環境対応をしている事は、強いアピールポイントになるのです。

例えば、今なら、11月1日に発行したばかりの、組織の社会的責任に関するガイダンス、ISO26000の考え方をいち早く取り入れれば、他社に先んじる事ができるかもしれません。

攻めの環境経営

さて、企業に求められる環境経営の、もう一つの側面は、「環境改善」です。

自社だけでなく、広く、社会の環境を現状よりも良くする事で、これは、「攻め」に繋がります。

太陽光発電装置
写真1 太陽光発電装置も代表的な環境負荷を減らせる製品
●環境負荷がより少ない製品やサービスの提供

既存のものと同等、あるいはそれ以上の機能、性能を持ちながら、より環境負荷が少ない製品やサービスを提供する事です。

分かりやすい例では、省エネの家電、設備、住宅や車、小型、軽量、長寿命の製品等です。

また、化石燃料を使わない太陽光発電、太陽熱利用、バイオプラスチック製品などもそうです。

既存のもの、他社の製品やサービスより、当社のものを選んでもらえれば、社会の環境負荷を抑えられる、とアピールできる訳です。

●直接的に環境改善や環境負荷低減をする製品やサービスの提供

二酸化炭素を固定したり、大気や水質、土壌等を浄化する製品やサービスを提供する事です。

屋上や壁面の緑化、排ガス、排水、汚染土壌を浄化する製品、光触媒によって空気を浄化する製品、等です。

●環境改善活動の実行、支援

環境を改善する活動を直接行ったり、支援したりする事です。植林、森林整備や砂漠の緑化、地域の清掃等を、社員が参加して行ったり、そうした活動をする団体を財政的に支援したりするのです。

これは直接的にコストダウンに繋がるものではありませんが、社会的な評価を高めたり、社員やその家族に誇りや精神的豊かさをもたらす効果が期待できます。

さらには、やり方によっては、自社のCO2削減にカウントできるような仕組みも整備されはじめています。

これについては、また機会を改めてお伝えしたいと思います。

環境対応というと、つい、自社の環境対策だけに目が行きがちですが、環境改善につながる新たな製品、サービスを展開していく事で、環境負荷の低減と、企業の成長を両立させる事ができます。

「守り」と「攻め」のバランスがとれた環境経営を目指して欲しいと思います。

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