企業・特許情報がほしい堺の元気な企業を紹介する情報誌「堺IPC PRESS」

「堺IPC PRESS」は堺市内企業の取組や支援情報を紹介しています。
地域産業の振興と企業情報の発信を目的に、セミナー情報や堺市の施策などを掲載しています。

堺IPC PRESS 2026.7 Vol.80

最新号 PICKUP!

テーマ:DX

伝統の技×デジタルが紡ぐ新時代「DX」に「正解」はない。自社だけの最適解を見つけた企業を紹介します。

株式会社ヤマトステンレス

20260420 yamato

0.3ミリの壁に挑む職人魂

代表取締役 小居 徹

未来へつなぐ技術力
等身大のDXでつむぐ、ものづくりの技と魂
一歩を踏み出した小さな変革が、職人魂を次の世代へとつなぐ。

薄肉のパイオニアが魅せる職人技

国内大手ガス機器メーカーをはじめとする給湯器用煙突や部品を製造する株式会社ヤマトステンレス。その強みは創業35年以上で培われてきた0.3〜0.5ミリという極薄ステンレスパイプをオーダーメイドで製造・加工できる技術力です。
他社の追随を許さないこの「薄肉のパイオニア」としての職人技が、日本のインフラを陰から支えています。

伝統のプレス技術と緻密な手仕事が、高品質な部品を紡ぐ。
妥協なき品質管理がもたらした、高い信頼を物語る表彰状。
システムはあるが……社長が悩んだ「DX」

近年よく聞く「DX(デジタルトランスフォーメーション)」
ビジネスをより便利にするヒントにあふれてはいるものの、興味はあっても自社に取り入れるためには何から始めればよいのか、費用面やどこに相談すればよいのかと考える企業も多いのではないでしょうか。
「DXへの取組として何かしたいと思っていましたが、具体的に何をすればいいのかわかりませんでした。システム自体は導入してはいるものの、パッケージソフトの変更を依頼すると莫大な費用が掛かってしまうことも
懸念点でした。」小居徹社長もそう深く悩んでいたと話します。

イベントが繋いだ「DX」 への未来

答えが見出せないまま小居社長が赴いたのは堺商工会議所のイベント。その会場で堺市産業振興センターの職員から「D X 」の専門家の派遣と、堺市中小企業デジタル化促進補助金を勧められます。これが同社の「DX」を具現化するターニングポイントとなりました。

手書きからタブレットへ めざすは属人化の解消

「専門家の方は、当社がやりたいことに対する手順を丁寧に提示してくれました。まずは手入力だったタイムカードのデジタル化に着手。
補助金の手続きについては堺市産業振興センターが申請を全面的にサポートしてくれたため、手書きだった日報のタブレット入力への移行にも踏み切ることができました。
新しい仕組みへの現場の抵抗や戸惑いはあると思いますが、慣れれば手書きより早く、管理もしやすくなります。データが蓄積されれば多角的な情報分析が可能になり、これからの仕事に大きく活かせる。そう確信し
ています。 」
足元を固め始めた同社が次に挑むのは、長年の経験に頼ってきた「属人化している業務」のデジタル化。小居社長の眼差しは、さらなる未来のビジョンを見据えています。

卓越した職人技と厳しい検品体制が、大手メーカーからの高い信頼を生む。
こども向けのイベントやオープンファクトリーも行う同社が作った薄肉ステンレスパイプの鉄筋。
長年手書きだった日報をタブレット入力へ。補助金サポートにより実現した品番や実績のデジタル化はデータとして蓄積され、これからのものづくりを支え、次世代へ技術を繋ぐ財産となります。

経営のキモ

20代から60代まで幅広い年齢層の社員を抱える同社。小居社長は普段から仕事の話に留まらず︑何気ない雑談などの日常会話から社員たちの「本音」を丁寧にキャッチアップすることを心掛けています。この細やかなコミュニケーションこそが、デジタル化という新たな挑戦に対し、現場が安心して一歩を踏み出せる強固な信頼関係を築いています。世代を超えて技と心を繋ぐ温かな風土が、同社の進化を支えています。

株式会社ヤマトステンレス

代表者名 代表取締役 小居 徹
本社 堺市中区新家町624番地
TEL 072-234-3106
設立 1981年設立
資本金 2,000万円
従業員数 17名
事業内容

薄肉溶接パイプ鋼管(ステンレス)の製造

ホームページ https://www.yamatostainless.com/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=19460

マック株式会社

20260421 mac

世界を魅了する、60年の技

代表取締役 小林 克人

切れ味の先へ──。
マック流、足元から始めるデジタルシフト
老舗包丁メーカーの挑戦。等身大のデジタルが未来を切り開く。

海を越えた職人魂。世界に愛される一本

創業より日米で実演販売を展開し、アメリカのホームパーティー文化への適応やテレビショッピングで70万セットを販売するなど、マック株式会社は世界の家庭やシェフから認められている60年の伝統を持つ包丁メーカー。今も40年以上前に購入された包丁の修理を持ち込まれることがあるといいます。

驚異のしなやかさと強度。これこそが世界を魅了するマックの技。
世界各国の雑誌評価で最優秀を獲得、シェフ一押し包丁。
紙の束と格闘する日々に訪れた転機

「当時は注文書も出荷指示書もすべてが紙で、オフィスには書類の山が築かれていました。保存場所にも限界があり、プリンターのリース会社から『これほど印刷している会社は他にない。』と言われるほどの印刷量でした。
何より業務が属人化していたため、担当者が休むと作業が止まってしまう。家族経営の協力企業は伝票すらなく、どうしてもスピード感が落ち、本社と岐阜にある工場で生産数や在庫数の誤差が生じてしまうことも課題でした。他社に比べてデジタル化への感度が遅れていることは、会社として大きな悩みだったのです。」
伝統の技を守りながらも、どこから手をつければいいのか。デジタル化の必要性を痛感しながらも、その具体的な手法を見出せずにいた小林社長。その転機は堺市産業振興センターが行っている産業DX支援センターだったと話します。これをきっかけに同社は2025年4月から全6回の専門家の支援を受けることとなります。

等身大のDXが起こした、組織の意識改革

「一番の収穫は、社員たちの意識の変化です。社内で自発的な打ち合わせや会議が始まったのは本当に大きな一歩でした。
専門家の方からはデジタル化への課題抽出と解決方法や「弥生販売」の実践的な活用法のアドバイスを受け、自分たちの手で業務を効率化していく楽しさを知るきっかけになったのです。
今ではスプレッドシートを活用したクラウド上でのデータ共有が進み、私に確認しなくても現場が主体的に判断。社内のスピード感が劇的に変わりました。 」

次なる舞台は岐阜工場。 進化し続ける老舗

次の目標は岐阜工場の「DX」化。「初めから無理だと諦めず、一度専門家から話を聞いてください。社内から必ずアイデアが生まれ、圧倒的に仕事が楽になります。 」そう語る小林社長。老舗の挑戦は未来へ続いている

スマホから在庫確認ができるようになり、現場のスピード感が変わったと話す小林社長。
職人の魂が宿る美しい和包丁。この一丁一丁が世界のプロや家庭の料理を支えている。
60年の伝統と職人技が凝縮された、三徳包丁と波刃のペティナイフ2本セットの限定モデル。世界のシェフを魅了し続ける同社の包丁は、研ぎ澄まされた美しさと圧倒的な切れ味が誇り。

経営のキモ

「Forbes」誌など世界のメディアも絶賛する同社の包丁。その背景には守るべき圧倒的な職人技への誇りと、小林社長の極めて誠実な経営哲学があります。めざすのは単なるビジネスを超えた「使う人の喜び」。良いものを愚直に創り、 世の中へ広め、どこまでも正直な商いを行っていく。伝統の切れ味を守りながら「DX」へ挑む老舗の根底には、時代が変わっても決してブレない、熱き職人魂が息づいています。

マック株式会社

代表者名 代表取締役 小林 克人
本社 堺市堺区戎島町2-25 堂之本ビル3F
TEL 072-238-4071
設立 1965年設立
資本金 2,400万円
従業員数 24名
事業内容

堺打刃物・洋包丁の製造・販売(メーカー)

ホームページ https://mactheknife.co.jp/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=3283

ムラカミ鋼管有限会社

20260420 mura

トップダウンを脱し、共に考える現場へ

専務取締役 鯛口 真

ミリ単位の先をゆく、職人の矜持と挑戦

鉄やアルミ、ステンレスなど多種多様なパイプの切断・面取り加工を手がけるムラカミ鋼管有限会社。主な供給先は、高い品質が求められる自動車業界や建設機械から農機具、半導体製造のための機械まで多岐にわたります。
通常はプラスマイナス1.0ミリとされる全長の許容誤差を、独自の技術でプラスマイナス0.1ミリにまで抑え込む精密な切断加工が最大の強み。この驚異的な高精度を叩き出す職人の矜持が、現代の先端テクノロジーの進化を支えています。

「無理」を断らない、技術を磨く飽くなき挑戦

今は亡き先代社長のもとで厳しく職人魂を叩き込まれ、現場視点から同社を支え続ける鯛口真専務。
「まずは品質第一。今の時代はお客様の要求も厳しく、 微細な鉄粉の付着さえ許されません。次に重視するのは地道な納期対応。それが次の受注への信頼に繋がります。
機械自体は何十年も変わりませんが、『無理』と断らず『一回やってみよう』と挑戦を重ねた結果、かつては2.5ミリが限界だった切断長さを現在は、2ミリまで可能にしました。」

職人の超精密な切断加工と、 一つひとつ丁寧に行われる 検品が生み出す高品質な金 属パイプ。
難題への実直な奔走。心で勝ち取る信頼

同社の営業窓口を担う鯛口専務に対して、村上奈三社長はこう語ります。
「どんな難題を持ち込まれても『なんとかしてやろう。』と奔走しています。その実直な姿勢に心を打たれ、顧客の多くが専務のファンだと
思います(笑)。」
企業の看板として、技術だけでなく「人」で信頼を築き上げています。

対話で紡ぐ、次世代を担 う職人のチーム

高品質な加工を維持する鍵は、受注から検査に至る工程間のシビアな情報伝達にあると言います。「前回と同じ」が通用しないものづくりの現場において、僅かな仕様変更を完璧に共有する伝達力こそが同社の生命線。鯛口専務はこの繊細な現場を率いるため、対話を重んじるマネジメントへ
と舵を切りました。
「かつてのトップダウンを改め、日々の会話の中で共に考えることをこころがけています。さらに現場のメンバーだけで集う会議を新設し、主体性を育む環境も整えました。」
「押しつけるだけでは人はついてこない」――鯛口専務のその温かな眼差しが、職人たちの自発的なプライドを呼び覚まし、同社の次世代を担う強固な組織を創り上げています。

地域に愛され、共に歩む証。「堺の大切にしたい会社」として認定された、誇り高き盾と認定証。
代表取締役社長 村上 奈三さん

ムラカミ鋼管有限会社

代表者名 代表取締役社長 村上 奈三
本社 堺市中区毛穴町38番地1
TEL 072-272-0141
設立 1966年創業 2004年設立
資本金 800万円
従業員数 41名
事業内容

各種パイプの販売、切断加工、面取り加工

ホームページ https://mura-p.jp/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=25387

SAKAIもの新発見

株式会社神田刺繍工房

「これが刺繍!?」 布上に描かれる針と糸による無限の立体美

婦人服メーカーやOEM企業に向け、刺繍の企画から製造までをワンストップで行っている株式会社神田刺繍工房。週に一度は図案の企画提案を行い、技術面では、一度に10枚を製造できるミシンを駆使して量産にも対応しています。刺繍糸はもちろん、ガラスビーズや自社で型抜きを行ったスパンコールなどを縫いつけて美しく立体的な表現ができる技術は同社ならでは。現場を支えるのは、ものづくりを心から愛するベテラン職人たちです。
 堺の地で55年。ファストファッション全盛の今、高品質な刺繍の価値はより高まっています。近年は婦人服の枠を超え、ブローチ製作やテレビ通販、SNSで発信するデザイナーとの協業など新分野へも挑戦中。
「誠意を持ってお客様に対応する。企画力も大事ですが、相手の想いに真摯に応えたい」と角谷久仁子社長。その温かな情熱が、新たな美を発見し続ける原動力です。

画像
代表者名 代表取締役 角谷 久仁子
本社 堺市中区伏尾22-13
TEL 072-279-0743
設立 1971年
資本金 1,000万円
従業員数 12名
事業内容 婦人服等の刺繍
代表者写真
さかいモノてらす

お問合せ先

公益財団法人 堺市産業振興センター 
経営支援課

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FAX:072-255-6700
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