企業・特許情報がほしい堺の元気な企業を紹介する情報誌「堺IPC PRESS」

「堺IPC PRESS」は堺市内企業の取組や支援情報を紹介しています。
地域産業の振興と企業情報の発信を目的に、セミナー情報や堺市の施策などを掲載しています。

堺IPC PRESS 2026.7 Vol.81

最新号 PICKUP!

テーマ:万博を超えて

「世界への挑戦」は、終わらない
万博のレガシーを胸に、次なるイノベーションへ走り続ける企業の今を追う。

菱田技研工業株式会社

堺IPCpress81号1001 3校修正版②

万博を越えて――
空を革新する「働くロボット」の本質と未来。閉幕後一年。世界へ発信した独自ドローンの現在。

代表取締役社長菱田 聡

変革が生んだ、唯一無二のドローン

1920年に伸鉄業として創業以来、時代に合わせた変革を続け、現在はオリジナル産業用ドローン「ALBATROSS(アルバトロス)」のカスタマイズ開発を主軸とする菱田技研工業株式会社。

既製品では対応できない現場に寄り添うオーダーメイド開発を得意とし、

ドローンでの高所点検や壁面吸着などの高い技術力を誇っています。

 

開発に励む後継者たち。万博出展 の誇りを胸に、次なる挑戦へ。
機体の前方に搭載された高性能カメ ラ。安全な高所点検作業を可能にする。
ロボット事業へ、決意の シフト

「バブル崩壊の煽りを受けて鉄工業からの事業転換を余儀なくされましたが、2004年にロボット・システムの研究・開発と販売へ

事業を転換しました。
さらにロボット事業の延長としてドローン開発を始めて17年になります。」未知の分野でも恐れずに飛び込む菱田社長の根底にあるのは、

時代が求めるものづくりへ挑戦しつ続ける強い思いです。

産学連携で挑む、独自の 技術力

同社は大学などと協力し、現場の課題を解決する機体を形にしてきました。徳島大学と共同開発した

「散水ドローン」は、特許技術「反力キャンセルティルト機構」により、放水時の反動や風に

負けない安定飛行を実現。

このほかにも特許を取得した「壁面吸着親子ドローン」は、壁に機体を固定することで電動ドリルでの穴あけなど、従来のドローンでは困難だった反動の大きい高所作業を長時間可能にしました。
これらの技術は、大阪・関西万博で実機展示と作業の様子を収めた動画を通じて世界へ発信されました。

ドローンは目的ではない。現場の本質に寄り添う変革の翼

「万博ではヘルスケアパビリオン内で一週間、当社のドローンを展示させていただきましたが、とても楽しかった。」と菱田社長は当時を振り返ります。
さらに、同社が見据える万博の「先」は、単にドローンを飛ばすことではありません。

「作業場や工場敷地内などリスクのある場所で働く、世の中にないキッチリとしたものを作る」という、

本質的な部分で役に立つものづくりです。

現在はAIの活用や、成果を定量的に評価できる仕組みづくりを進めており、万博での反響をただのブームで終わらせず、更なる開発のために有効活用していることが同社の強みになります。
「万博出展」の誇りを胸に、実用性と本質を愚直に追求し続ける同社は、これからも現場に寄り添うイノベーションと技術力で、未来の産業を力強く支えていきます。

ザラつく壁面にもピタッと密着。凹凸のある壁 でも安定した吸着を可能にする独自パッド。
反力キャンセルに使用するティルト機構の動作 確認をする菱田社長。
万博で世界に披露された、菱田技研工業の「壁面吸着親子ドローン」。吸着パッドを搭載し、垂直な壁面 での安定した高所点検や穴あけなどの特殊作業を可能にする独自の先進技術です。

経営のキモ

小学生の頃に開催されたEXPO'70を訪れた菱田社長は「各国のパビリオンで見た未来の技術は『技術が面白い』と思うようになった原体験の一つ」だと語ります。
この原点にある飽くなき好奇心と「技術へのワクワク感」を、時代が求めるニーズへ迅速に適応させる柔軟な姿勢は、次世代へも継承されています。
伸鉄業からドローン開発へと変革を遂げた、既存の枠にとらわれない大胆な挑戦こそが︑同社の成長を牽引する最大の原動力です。

菱田技研工業株式会社

代表者名 菱田 聡
本社 堺市西区築港新町2-7-2
TEL 072-244-6905
設立 1920年創業/1950年設立
資本金 1,000万円
従業員数 6名
事業内容

産業用ドローンの研究開発、製造販売、不動産賃貸

ホームページ https://www.i-hishida.com/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=504

ハイテン工業株式会社

堺IPCpress81号1001 3校修正版②

「ものづくりに限界はない」大舞台を越えて加速する百年企業への道
万博出展の経験を糧に、共同開発や新規商談で世界へ挑む。

代表取締役社長佐伯 知哉

航空機も支える、研究開 発型の技術力

創業約78年を誇り、自動車部品のホイールナットや電柱の足場、航空機用金型まで幅広く手掛けるハイテン工業株式会社。社名の由来であるハイテンション・ボルトをはじめ、超硬合金の特殊金型やステンレス加工など、超精密な金属プレス加工技術を強みとしています。図面通りの加工はもちろん、自社を「研究開発型企業」と位置づけ、難加工にも日々挑戦。確かな技術力で、伝統ある堺のモノづくりを牽引し続けています。

真剣な眼差しで金属加工に挑む技術者。 緻密な手仕事が高い品質を支えます。
大阪・関西万博への出展を証明する出展 証。輝かしい実績が額に飾られています。
独自の高温鍛造で挑む環 境配慮

同社がめざすのは、後述する独自のモノや技術で地球に優しく本質的に役立つものづくり。
「従来は削り加工が常識だったチタンなどの硬い材料に対し、約800〜900度の高温で鍛造する技術を開発しました。

材料を無駄にしない『省材料・省工程』の切削レス製造を実現したことで、エコにも貢献できる製品です。」

自社を「研究開発型企業」と位置づける佐伯社長の熱い想いが、この挑戦の原動力となっています。

万博へ挑む、技術発信と 社内改革

「万博への出展の主な目的は、新しい技術を世の中へアピールし『こんな技術ができた』と示すことでした。この挑戦が社員のモチベーション向上や企業ブランディングに寄与し、次世代を担う新たな技術者の採用活動にもつながると考えていました。」佐伯社長の挑戦は、単なる技術披露に留まらず、企業の未来を創る社内改革としての側面も大きく担っていたのです。

独自の高温鍛造技術︒ 省材料とエコへの志

「万博では金型を直接見せられずアピールに苦労した」と佐伯社長は語りますが、万博を機に「大阪産業技術研究所」との共同開発や出展企業間のネットワークという財産も誕生。
この財産を糧に、今後は学会発表等を通じて技術を広め、省材料・省工程のエコなものづくりを推進し、五年後の商品化と百年企業へ向けた新たな収入の柱を築く方針です。
また、堺市産業振興センターのサポートを受けながら、補助金申請も積極的に活用。
佐伯社長は「モノづくりには限界もゴールもない。だからこそ、自ら壁を作ることなく、自分のやり方で知識や工夫を重ねて変えていくことが大切」と力を込めます。「堺から世界へ」をフレーズに、
ハイテン工業は独自の超精密技術を武器に次なる挑戦への歩みを力強く加速させています。

ずらりと並ぶ精密な超硬金型の数々。他社の追 随を許さない超精密技術が宿っています。
最新鋭の工作機械を使いこなす若手女性社員。細 やかな手仕事と技術への情熱が未来を担います。
万博でも披露されたsakai kitchen〈堺キッチン〉認定のお香立て「KON-KOU」。独自の精密金型技術を 美しいデザインへと落とし込み、洗練された造形美を放ちます。

経営のキモ

堺市への移転や補助金活用、万博出展を機に、苦労して掴んだ特許技術を武器に難加工へ挑み続ける研究開発型企業のハイテン工業。
万博での課題を糧に、受注が急拡大する航空機産業など時流の成長分野へ独自の超精密金型技術を迅速に適応させる高い先見性を持っています。
固定観念に捉われず、堺市産業振興センターなど外部の支援を力に変えながら新しい収入の柱を築く「壁を作らない向上心」こそが、百年企業へ導く最大の原動力です。

ハイテン工業株式会社

代表者名 佐伯 知哉
本社 堺市美原区平尾679番地
TEL 072-361-8110
設立 1950年創業 1961年設立
資本金 1,200万円
従業員数 46名
事業内容
ホームページ https://www.hiten.co.jp/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=1199

株式会社デリコジャパン

堺IPCpress81号1001 3校修正版②

常識を覆すアイデアで未来を創る 食の枠を超え、世界を驚かす仕掛け人

代表取締役社長前田 正雄

大手企業のコンサルティングに35年以上携わってきた前田正雄社長が、「スイーツで世界に挑みたい」との想いで2012年に設立した株式会社デリコジャパン。
食品原料から製品までを網羅するプロであり「ふくや」ブランドの「渋皮栗の生どらグランデ」などの菓子販売をはじめ、独自開発した耐熱もちや冷凍耐性を高める添加物の製造、大手外食チェーンへのOEM提供も行っています。深い知見を応用し、既存の枠を超えた新分野を開拓する企業です。

伝統の魂を根底に、世界を 驚かす製品を

「ビジネスの原点は、和菓子職人だった父の姿です。幼い頃から仕事への向き合い方や社会人としてのマナーなど、商売人としての基本を父の姿を通して見てきました。
この父譲りの職人魂が、今の私の根底にあります。」と前田社長は振り返ります。
伝統的な職人魂を受け継ぎながらも、長年のコンサルティング事業を通して、食物繊維の一種であるセルロースに着目。セルロースの熱ゲル化の特性を生かした延焼抑制剤を開発するなど、既存の枠にとらわれない柔軟な発想力で人々を驚かせる新発想の製品開発を次々と具現化しています。

食品のプロが挑む、安全で面白い製品

「大阪での万博開催が決まったと同時に、必ず参加しようと思いました。そこで思いついたのが、最先端技術を用いた『食べられるシャボン玉』だったんです」と前田社長。
「食品のプロとして安全で面白いものを届けたい」。そんな純粋な想いと自社の独自技術が結び付き、

このユニークな製品が誕生しました。

食べられる材料だけで作っ た「触れるシャボン玉」。食品 開発の知見から生まれた、ユ ニークで安全な新製品です。
テストキッチンで試作に励 む社員たち。繊細な手仕事 から世界を驚かせる新製品 が生まれます。
最新技術から生まれた 100%植物性の唐揚げ。本物 と遜色のない抜群の食感と 美味しさを誇ります。
セルロースが拓く、壮大 な世界の未来

前田社長は、「セルロース」と「米」から革新的な次世代植物由来肉を開発しています。 開発された「とんかつ」は、ジューシーな肉質感だけでなく、肉自体に「出汁の旨味を閉じ込める」といった味の設計ができる点が特徴。さらに、電子レンジで温めても衣のサクサク感が失われない高い品質を誇っています。
この技術は宗教的な食品事情などの多様な食文化に対応できる100%植物由来の「唐揚げ」にも展開され、世界市場を見据えています。
また、政府の新規需要米政策とも連携し、国内農業の活性化や食料自給率向上への貢献も目指している同社。単なる肉の代用品ではなく、肉を超える新たな食品カテゴリーの創造へ挑んでいます。

株式会社デリコジャパン

代表者名 前田 正雄
本社 堺市堺区出島浜通2-18
TEL 072-247-3740
設立 2012年設立
資本金 900万円
従業員数
事業内容

食料品の卸売、和菓子の製造

ホームページ https://djm.co.jp/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=9309

SAKAIもの新発見

ビジュアル

角野晒染株式会社

職人技が紡ぐ究極の肌触り 堺の伝統技術「和晒」が届ける新価値

1931年の創業以来、堺の地で伝統的な「和晒(わざらし)」を守り続ける角野晒染株式会社。機械式(洋晒)とは異なり、専用釜に生地を重ねて約30時間かけてじっくりと不純物を取り除く和晒は生地に圧力をかけないため、
木綿本来のやわらかな風合いと圧倒的な吸水性が特徴です。以前はさらし布や寝巻といった商品が主力でしたが、ライフスタイルの変化に合わせて衣類やカラフルな手ぬぐいなど新商品の開発も行っています。手ぬぐいは使い方や包み方、
畳み方も含めてブランド・コンセプトに。同社では手ぬぐいの染め体験ができる体験工房も併設。「ハンカチ代わりや温泉に行く時に使うなど、まずは手ぬぐいに親しんでもらいたい。そして堺で作ったと言ってもらえると嬉しいですね。」と
語る角野孝二社長。製品を売るだけでなく、魅力を体感してもらうという新しい価値の届け方にも挑戦しています。

画像
代表者名 角野孝二
本社 堺市西区津久野町3-32-1
TEL 072-262-0425
設立 1931年創業/1951年設立
資本金 1,000万円
従業員数 18名
事業内容 綿織物の精錬漂白加工、捺染加工
代表者写真
さかいモノてらす

お問合せ先

公益財団法人 堺市産業振興センター 
経営支援課

TEL:072-255-6700
FAX:072-255-6700
E-mail:keiei_shien@sakai-ipc.jp
受付時間:9:00~17:30(土日祝を除く)