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堺IPC PRESS 2023.10 Vol.69

PICKUP!

子育て中でも働きたいという女性を積極的に活用する企業の取り組みとは?
結果、社員全員に働きやすい職場づくりを実現していました。

新日本工機株式会社

スクリーンショット 2025 11 05

女性を含む多様な人材の活躍が企業の大きな成長へ 

代表取締役社長兼COO 中西 章

海外7カ国に事業所を置き、グローバルにビジネスを展開している新日本工機株式会社。「世界のドラスティックな変化に対応するためにはさまざまな視点が必要」と語る中西章社長は早くから、女性を含む多様な人材の活用に注力しています。

創業125年の実績と信頼からグローバルに事業を展開

1898年創業の新日本工機株式会社は、日本で最も古いといわれる工作機械メーカーの1社で、国内初の門型加工機を開発した企業として知られています。同社の強みは、門型マシニングセンタや5軸マシニングセンタ、複合旋盤など大型工作機械をフルラインナップで扱っていることで、世界でも珍しいとのこと。しかも、大型工作機械ながら、顧客の要望に応じて細かなカスタマイズにも対応するのが他社にはない特長だと中西社長は語っています。
「大型工作機械の寿命は30年以上が当たり前です。当社は納入した機械が30年、50年と稼働している間もお客様と一緒にものづくりの改善をし続けられることを目指しており、そのために大切なのが人材です。10年か20年に1回しか受注のない機械でも、ずっと長く携わっている技術者がいるから、そしてその技術がきちんと承継されているから対応できます。そういう観点から、当社では”実力主義の終身雇用”を宣言しています」。
今回、堺市が実施した「さかい女性の就職応援プロジェクト」に参画したことについて、「当社ではもともと、女性、男性と区別することはありませんが、工作機械メーカーを志望する女性が少ない中で、ホームページなどで分かりやすく仕事内容を紹介しても、出会いがあまりありませんでした。今回、『マミクリさかい』※のおかげで、新たな出会いの場を作ってもらい、当社も1人の社員を採用することができました」と話しています。

製造部のプログラム係で働く黒田彩香さん
工場見学で3Kのイメージを払拭 子育てしながら働ける環境も

「マミクリさかい」の活動で入社したのは、5歳、3歳、1歳という小さな子どもたちを子育て中の黒田彩香さん。「家庭だけでなく社会でも活躍できる人でありたい」と現在、製造部のプログラム係に正社員として勤務しています。
「これまでは事務系や販売の仕事ばかりで、製造業で働くのは初めてです。製造業というと3Kのイメージを抱きがちですが、実際に工場内などを見学すると、全館空調は効いているし、社内の雰囲気もとても良かったので応募しました。何よりも子育て中でもフォローしてもらえる制度がしっかりと整備されていたので安心です」。
自ら希望したプログラムは全くの未経験で、一から丁寧に指導を受けているところだとか。「わからないことだらけでしたが、一つずつ理解できるようになると、とても面白いです。いつか自分がプログラムしたものが加工され、実際に加工品ができあがっていくのだと思うと、子育てにも似た喜びや、やり甲斐を感じます」と話していました。
同社では、10年以上前から設計部門で女性が活躍しているほか、現在は部品の組立や制御盤の配線作業などの部署にも女性たちが配属されています。

①部品の検査作業
②部品の組立作業
③制御盤の配線作業
世界の変化への迅速な対応に多様な人材の多様な視点が重要

女性の活用に向けて、経営者として重要なことについては「当社では性別に関係なく、一人ひとりの個性、能力をいかに活かすかということを重視しています。働く意欲と能力があり、当社の価値観とマッチングする人であれば、男女を問わず迎え入れたい。そのための環境を整えるということで、かなり前から働きやすい職場づくりを進めてきました。その土壌があったからこそ、今回の新しい出会いにつながったと考えています。女性の活用といっても、急ごしらえの仕組みで迎えてもうまくいきません。人を活かす文化、風土をどう作るかだと思います。当社ではまず、その人の適性にあった職場に配置しています。次に、失敗を責めるのではなく許容して育てる風土が根づいています。それが働く人の安心感につながっていると思いますね。そして、頑張っている人や成果を上げた人がちゃんと評価される仕組みを作っています」と中西社長。
さらに同社では、女性だけでなく外国人や障がいを持った人、70代以上の人など、多様な人材を活用しています。
「海外を巡るたびに私自身が実感することですが、世界は経済も政治も、そしてものづくりも目まぐるしく変化しています。それをいち早く察知し対応するためには多様な視点が必要で、売上の60%を海外で上げている当社としては、多様な人材、さらには世界で通用するグローバルな人材を今後も求めていきます」。※マミクリさかい…堺市の女性活躍推進を目的とした就労応援プロジェクト事業の一つで、「いつか働きたい」と考えるママのためのサークルです。子連れで参加できる企業説明会や企業見学も実施しています。

経営のキモ

【マミクリさかいの支援ポイント】
子育て中の女性が先入観で働きづらいと思っていた業種でも、PRの仕方や採用形態を柔軟にして頂けた事で良い採用に繋がりました。女性にとって働きやすい環境を今後も作り上げていってほしいです。

新日本工機株式会社

代表者名 中西 章
本社 堺市南区高尾2-500-1
TEL 072-271-1201
設立 1898年創業 1949年設立
資本金 1億円
従業員数 661名
事業内容

工作機械(マシニングセンタ)・大型旋盤・複合加工機・専用機・産業機械・各種ソフトウエア・遠心力鋳造管の製造、販売

ホームページ https://www.snkc.co.jp/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=2747

株式会社カネシゲ刃物

スクリーンショット 2025 11 05

子育てしながら働きやすい環境が品質の安定にも 

代表取締役社長 河村 幸祐

「どれだけ売れるかではなく、どれだけ惚れ込んでいるか」でラインナップしたかったと、河村幸祐社長が自ら立ち上げた自社ブランド「幸之祐」。そのものづくりを支える従業員の約半数が女性で、働きやすさが品質の安定にもつながると語っています。

価値観を共有できる人に向けてこだわりの自社ブランドを開設

1932年に刃物の製造卸商として創業して以来、百年近い歴史を誇る株式会社カネシゲ刃物。幅広い層に向けて数多くの包丁を販売してきましたが、河村幸祐社長が疑問を抱いたのは、伝統的な技術で手作りされた高級品も、大量生産されている汎用品も同じカネシゲの名前で売られていることでした。
「それでは職人の方たちも刃物作りに誇りが持てないじゃないですか。そこで、私がやりたいことだけを徹底的にやる、こだわりのブランドを作りたいと思ったんです。それが『幸之祐』です。そのこだわりを共有してくれる人だけが買ってくださればいい。それがたとえ0.1%の方であっても、世界全体を市場と考えれば、決して小さくありません」。
実際に欧米を中心に、さまざまな国の販売店が「幸之祐」ブランドを扱っており、なかには「幸之祐」ブランドを愛好するあまり、腕にブランドロゴのタトゥーを入れているバイヤーもいたとか。そうした販売店に紹介されて、わざわざ堺の店舗を訪ねてくる外国人も少なくありません。
そして、一流の職人による「鍛冶」「研ぎ」という工程を経た刃に柄をつける最終工程「柄付け」を担っているのが、同社の女性従業員たちです。

最終工程の「柄付け」作業を行う女性従業員
納期も価格も管理できるから急な早退や有給休暇も自由

6年前から同社に勤務する河村社長の妹の西場奈津子さんは「刃物を扱うと聞けば、最初は『怖い』『男の仕事』というイメージを持たれがちなんですが、実際にやってみると、怖いというより楽しいです。なかでも『幸之祐』ブランドはデザイン的に洗練されているので、ふれるだけで惚れ惚れします。店頭に来られた外国人のお客様が思わず『Fantastic!』とつぶやくのを聞くと、嬉しくなりますね」。
西場さん自身も一児のお母さんですが、同社は以前から子育て中の女性にとって働きやすい職場づくりを進めてきました。
「当社で積極的に女性を活用するようになったのは、ちょうど『幸之祐』ブランドを立ち上げた頃です。1本1本小さな傷も見落とさないよう、心をこめて柄付けする作業に女性が向いていると考えたこともあります。一般に女性を活用する上でネックになるのは出産や育児だと言われますが、産休や育休といったことは事前に予定が見えて、こちらも備えることができます。問題になるのは、子どもの急な発熱による早退などで生産数の予定が狂うことですね。当社の『幸之祐』ブランドは、納期も価格も自社で管理しているからこそ、そうした予定外のことも許容できます。数年前から時間有給休暇制度も導入しました」。

本社ビル内で各々の業務に励んでいる従業員の皆さん
本社ビルと自社製品を陳列・販売している併設ギャラリー
女性も含めた従業員のやる気を応援する企業に

「さかい女性の就職応援プロジェクト」に参画し、企業向けセミナーにも出席した河村社長は「話を聞いて、当社は自然と女性が働きやすい環境づくりができていたんだなと思いました。会社訪問も3回受け入れましたが、子育てしながら仕事を探している女性たちの真剣な思いもよく伝わってきて、働きやすい環境づくりの大切さを改めて認識しました。
私自身が会社員だった時代の実感から、やらされ感のある残業や休日出勤はモチベーションを下げるだけだと考え、当社は残業ゼロ、有給休暇申請は即時承認としています。働きやすさが心のゆとりを生み、ひいては製品の品質の安定にもつながっていると思いますね」と語っています。
将来的には、こだわりのものづくりを極めるために、すべての工程を自社内で完結させる一貫生産を目指したいと河村社長。すでに2人の社員が修行中だとか。さらに、「幸之祐」ブランドも包丁だけでなく、鞘や布巻きなど周辺グッズにもラインナップを拡大できればと考えています。
西場さんは「私たち女性従業員にも、思いついたことがあればチャレンジすればいいと言われていて、私も思いついた漆塗りとのコラボレーションを、備長炭を使った漆塗り職人を探すところからやらせてもらえました」と話しています。
若い人たちのやりたいものづくりを応援したいと語る河村社長。「男女を問わず従業員の満足度を上げることが企業の業績を上げる一番の近道ではないかと考えています」と語っていました。※マミクリさかい…堺市の女性活躍推進を目的とした就労応援プロジェクト事業の一つで、「いつか働きたい」と考えるママのためのサークルです。子連れで参加できる企業説明会や企業見学も実施しています。

経営のキモ

【マミクリさかいの支援ポイント】
新たな女性の働き方を模索する中で、社員一人ひとりと向き合いながら働きやすい環境を作り出そうとしている企業さんです。さらに多くの子育て中の女性に、「働き方はひとつではない」と知ってもらいたいです。

株式会社カネシゲ刃物

代表者名 河村 幸祐
本社 堺市堺区甲斐町東4-3-26
TEL 072-222-0081
設立 1932年創業 1969年設立
資本金 1,000万円
従業員数 7名
事業内容

打刃物の製造、販売

ホームページ https://konosuke-sakai.com/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=8282

株式会社 国誉アルミ製作所

スクリーンショット 2025 11 05

かゆいところに届く「手」でありたい顧客の信頼も厚いスーパー事務員 

代表取締役名島田 暁令

全工程を一括管理・加工する複合加工や金型不要のレーザー加工分野で強み

プレス・ヘラ絞り加工から切削、板金・溶接、塗装など全ての工程をワンストップで行う国誉アルミ製作所。その複合加工によりコストの低減が図られるほか、小ロット多品種にも対応できることで強みを発揮しています。最近では、3次元レーザー加工機を導入して、金型が不要になるレーザー加工分野にも進出。原子力発電設備の部品や学術試験用装置などのシビアなものづくりも得意としています。
そうした同社の事業を支えている一人が、あらゆる事務処理をマルチにこなすスーパー事務員の岡本あけみさんです。島田暁令社長も「当社の成長には、彼女も一緒に勉強してサポートしてくれたことが大きい」と語っています。例えば、国や自治体の補助金制度の活用。一般には申請書類作成の面倒さからコンサルタントに申請代行を依頼することが多いなかで、岡本さんはこれまでにものづくりや省エネに関連した補助金制度3件の申請手続きを一手に引き受け、全て採択されています。

言われたこと以上の仕事をしたいと補助金の申請も資金繰りも一手に

「きっかけは、先代社長がある補助金制度のことを耳に入れてきて『ちょっと調べておいて』と頼まれたことでした。言われたことを言われたこと以上に応えたいので、何度も堺市産業振興センターの指導を受けながら自分で申請書類の作成に挑戦しました。結果、無事に採択された時は嬉しかったですね」。
2007年に入社するまで事務職に就いたことがなかったという岡本さん。経理の知識も経験も全くありませんでした。
「事務所で資金繰りの話をされていても、自分だけが蚊帳の外にいると感じていました。言われたままに数字を入力するだけの作業で、内容を全く理解していない。そういう仕事の仕方が性格的に嫌なんですね。商工会議所で開催されていた簿記のセミナーを受講したいと先代社長に申し出たところ、費用も何も確認しないまま、全額会社負担での受講を許してくれました。そのセミナーに終業後に半年間通い、その後は実務で経験を積み上げていきました。資産の会計について、終業後に会計士の先生を訪ねて教えてもらったこともあります。やがては先代社長からも会社のお金の流れのことなどを教えてもらえるようになりました」。今では余裕資金を積立口座へ移動するなど日々の資金繰りについては、事後報告のみで岡本さんに一任されています。

誰が欠けても会社の困らない全員が全ての仕事をできる事務所へ

日々の業務の中で大切にしているのは「相手の立場に立つことだ」と岡本さん。納期を急いでいる顧客と、すでに加工予定が埋まっている現場と、その間に入って双方が納得する方向で調整するよう心がけています。
岡本さんが自ら面接し採用を決めた他の2人の事務員たちには、ひとつができたら次はこれをと徐々に仕事を覚えてもらっていると言います。「この人がいないとわからないという状況を避けるため、ゆくゆく全員が全ての仕事を同じようにできる事務所にしたいんです」。
会社の持続的発展のためには、それをサポートする事務職も円滑で発展的な継承が必要だと岡本さんは考えています。

最新機器を導入しつつ、得意先の難易度の高い要望にも応え続けている同社。銅やアルミなど高反射材の切断にも対応できるファイバーレーザー加工機とパレットチャンジャ―。
曲げ加工を行うプレスブレーキ。

経営のキモ

【失敗も許容してチャレンジを促す人材育成】
将来を考えると若手の育成が急務だと、若手社員の採用に注力しています。定着率を上げるための働きやすい職場作りを大切にしているほか、若手の自主性を尊重した独自の育成方法を実践。最近、若手社員たちが自分の友人たちを誘って入社させたケースもあり、同社のこれまでの取り組みの成果が表れたようです。

株式会社 国誉アルミ製作所

代表者名 島田 暁令(あきのり)
本社 堺市美原区北余部267-6
TEL 072-369-2594
設立 1958年創業 2010年設立
資本金
従業員数 46名
事業内容

金属製品の加工・販売

ホームページ https://www.kokuyo-al.com/
さかしる掲載ページ https://sakacil.com/detail/?id=3778

SAKAIもの新発見

ビジュアル

Palette Japan-パレットジャパン-

堺注染の規格外品を 有効利用した つまみ細工キット

美しく染められた堺注染の生地で作られた、かわいらしいつまみ細工の花。パレットジャパンが今年8月に発売した「花いろは」です。
「花いろは」は、わずかなスレや傷で規格外となった堺注染の生地を使用した、自分でつまみ細工を作るキットで、ピンセットなどの道具を使わなくても動画を見ながら簡単にできるのが特徴。この独自の手法を考案した同社の太田智子代表は、自ら日本の伝統工芸つまみ細工に魅せられたアーティストであり、オンラインでつまみ細工の教室も開催しています。
堺の注染を使った「花いろは」誕生のきっかけは、注染工場の片隅に規格外ゆえに廃棄される生地が高く積まれ
ているのを見たことでした。「『もったいない』という思いと、『堺注染のすばらしさを広く知ってもらいたい』という2つの思いが重なって考え出したものです。今年2月に行われたビジネスプランコンテストで受賞したことから商品化を決断しました」。
堺の注染や和晒の関係者も、太田さんの異なる視点からの注染へのアプローチに期待を寄せています。

画像
代表者名 太田 智子
本社 堺市北区長曽根町130-42 さかい新事業創造センター303
TEL 090-9873-0087
設立 2018年創業
資本金 100万円
従業員数 1名
事業内容 海外向けECサポー ト、海外貿易アドバイザー、つ まみ細工講師
代表者写真
さかいモノてらす