インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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ポイントを活用したマーケティング力に強み アイタート有限会社

さまざまな業界のシステム開発や運用で豊富な実績

 大手ソフトハウスで、流通・サービス業や金融業の業種・業務システムの開発などに携わってきたというアイタート有限会社の下岡功社長。
 「その会社でシステムエンジニアを務めたのち、営業として顧客企業の課題解決に向けての提案や、システム化の目的の整理、ビジネス要件の整理、システム設計・システム開発、運用設計とITの上流から下流までを担当してきました」。
 その経験が、今日のアイタートの強みにつながっているようです。例えば、2003年創業後の実績として、大手レンタカーのシステム構築のプロジェクトマネージメントに参画し、約300名のプロジェクトの進捗管理やテスト計画に携わったほか、大手アパレル企業の物流改革や、不良在庫を有効活用する3R(リユース・リデュース・リサイクル)事業の立ち上げを行っています。さらに、アミューズメントパークのチケット販売のシステム設計や、あるファストファッション企業では経営資源の有効活用を統合的に考えるERP(企業資源計画)システム※1のリニューアルのコンサルティング業務にも携わってきました。聞けば誰もが知っている有名大手企業で豊富な実績を積み上げてきたのは、きっかけとして下岡社長の個人的な人脈がありますが、ビジネス要件とIT要件の両方を理解し、そのバランスをとりながら企画、設計、コンサルティング、さらにはプロジェクトマネージメントまでをこなせる同社の強みが理由といえます。


▲同社の経費や売上など、家族の協力を得ながら管理・運営を行っている。

※1 ERP(企業資源計画)システム...企業の持つ経営資源を1カ所に集めて管理し、有効活用するシステム

業界を超えた販促企画などで高い評価を獲得

 さらに同社が優位性を発揮している"ニッチな領域"が、かつて大手共通ポイントシステムの立ち上げから携わった実績を背景に、ポイントシステムを活かした顧客管理や商品管理をベースとしたマーケティング力です。
 ポイントを活用したマーケティングの特異性について下岡社長は「"誰が何を買っているのか"とともに、"この商品を誰が買っているのか"の両面から把握することで、顧客に響く販促、広告を打つことができる」と語っています。
 なかでも、複数の業界や企業グループが加盟して活用する共通ポイントシステムは、互いの顧客情報を共有できるため、新規顧客の開拓に有効です。それまでに日本になかった同システムの立ち上げには、複数企業で共通して使えるデータベースの設計や、それぞれの企業の課題解決に向けた分析やアウトプットをデータベースから導き出すことが大変な苦労だったとか。
 また、立ち上げ当初は「自社の顧客情報を取られるだけなんじゃないか」という懸念を持たれることもあり、共通ポイントに加盟するメリットを理解してもらうための努力が必要だったそうです。それが最近では、下岡社長が企画した販促の一例として、大手外食チェーンストアでの支払い時に、紳士服販売チェーンで使える割引クーポンを発券したところ、20〜30%の利用率があり、高い評価を得たそうです。こうした共通ポイントの有効性から、今では複数の共通ポイントが立ち上がり、競争を激化させており、そうしたなかで下岡社長率いるアイタートは、独自のポジショニングを確立しているようです。


▲プロジェクト全体のマネージメントを得意とする同社の「業務改善提案書」サンプル(抜粋)

自社の承継を含めて次代への貢献を模索中

 「ポイントを活用したマーケティングには、アプリやサイトといったメディアのノウハウはもちろん、ビジネスニーズが理解できていないといけませんし、さらにはメディアを活用するためのデータベースのノウハウ、またデータベースを分析するノウハウも必要です。事業会社は、あくまでも売上を伸ばすことが目的なので、システムの作り方などについては全てITベンダーに任せたい部分ですが、ITベンダーはビジネスニーズを把握しきれていません。そうしたなかで当社は、ビジネス視点でシステムの開発に必要なRFP(提案依頼書)※2を作成することができ、いわば、システム開発者とコンサルタントの中間に位置する"ニッチな領域"で、他社と比較されることのない実績を重ねられているのが強みといえるでしょうか」。一方で、市場が特定少数ということで顧客の幅を広げるのに時間がかかる点をデメリットとして挙げています。
 今後については、「ここまで共通ポイントが増え、さらに企業が独自に展開しているハウスポイントもあるので、ユーザーにとって煩雑になっていることから、この課題を解決できるシステムを提案できないかと考えています。また、高齢社会で人口の多くを占めている50代から70代の方にも公平に便益を享受できる仕組みを企画したいと思います」。
 創業から20年。現在の下岡社長が思いを寄せるのは地場の振興や、自社の事業承継です。
 「これまで東京を中心に仕事をしてきましたが、本社を置く堺にはまだまだデータを活用しきれていない企業も多く、ポイントシステムなどの仕組みを活用することで、堺の企業に貢献できたらと考えています。また、コンサルティング後の実装については、外部人材を活用できたらと思いますし、事業承継も踏まえて、当社のノウハウの活用や継承に興味のある企業とご縁があれば話をしてみたいと思います」。

※2 RFP(提案依頼書)...システム開発を依頼する企業が必要な条件をまとめ、発注先候補の事業者に具体的な提案を依頼する文書

成功のポイント

現在ではコンビニや飲食店で当たり前のように使われているポイントサービスの仕組み作りに携わった下岡氏。IT業界でのシステム開発やコンサルティング経験だけでなく、アパレルメーカーの物流改革などのさまざまなキャリアがアイタートの成功の源泉になっています。

アイタート有限会社

代表者名代表取締役社長 下岡 功
本社堺市北区長曽根町545-13-307
E-mailshimooka@itart.jp
設立2003年設立
資本金300万円
従業員数 4名
事業内容ITの企画・コンサルティングとマネージメント

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