インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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多様なめっきで「縁の下の力持ち」 株式会社金澤鍍金工業所 代表取締役 守口 惠介

幅広いめっきに対応
独自に開発した設備で量産も

 鉄や銅、アルミニウム、そしてその合金などの金属が、長い時間の経過の中で錆びたり、すり減ったりするのを防ぐために施されるのが「めっき」です。金属の種類や用途によって処理法もさまざまですが、設備が異なるため、1社であらゆる処理法に対応することは難しく、ほとんどの事業者は一つの分野にしか対応していないといいます。
 そうしたなかで金澤鍍金工業所は、耐摩耗性用途の硬質クロムめっきや無電解ニッケルめっきから、防食用途の亜鉛めっき、さらには装飾的用途にも使われるカチオン電着装飾など、幅広い表面処理法に対応しています。その経緯について、守口惠介社長は「1950年の創業当初は自転車部品への表面処理が主体でしたが、高度経済成長期に幅広い業界からの注文があったそうです。どの業界の、どのようなオーダーも断らず対応してきた、その積み重ねが今日につながっているのです」と語っています。
 1970年代のモータリゼーションの進展により、自動車が量産されるようになると、同社にも自動車部品の表面処理加工の依頼が来ました。高品質であることはもちろん、それ以上に重視されたのは量産体制です。当時をよく知る中島圭一管理部担当部長によると「その頃は一つのめっき槽で一斉にめっきを施すバッチ式が主流でしたが、当社はベルトコンベアのようにゆっくりとタンクの中を流す連続式を独自の設備として導入しました。これにより、待ち時間のロスもなくなり、生産性が上がったのです」ということでした。


▲自動車部品への硬質クロムめっきライン

治具の内製化や提案力でも自社の優位性を発揮

多様な表面処理に対応しているがゆえの優位性としては、提案力もその一つ。「部品の設計者もめっきに詳しいわけでなく、設計図の隅にめっきの種類と膜厚が小さく記載されているだけです。当社では部品の用途、加工の目的をしっかりヒアリングしたうえで、最も効率的で最適な加工法を提案することが多くあります」と守口社長。以前には、ある部品に耐摩耗性とともに耐食性も持たせたいという注文があり、クロムめっきだけで厚く加工すると、膜厚にばらつきが出てしまうため、下地に無電解ニッケルめっきを施したことがあったといいます。
 こうした提案力、技術力を支えているのは、同社が擁する多くの優れた技術者ですが、なかでも部分めっきを効率的に行うための治具を、社内で設計・開発できるベテラン技術者がいることは、同社の大きな強みとなっています。また、驚くのは1級のめっき技能士が製造現場だけでなく、営業担当にも配されていることでしょう。
 今後は、この優れた技術やノウハウをいかに継承していくかが課題です。同社では大阪府鍍金工業組合が主催する大阪高等めっき技術訓練校に社員を多く送っていますが、昔のように時間をかけて育てることは難しくなっており、「将来的には設備や治具の力で、経験の浅い技術者でも一定以上の品質の加工ができれば」と守口社長は話しています。
 昨今、技術の急速な進展で、自動車のような最終製品がその形を変えています。これまで施していためっきが突然に不要になることも考えられ、今後は特定の業界に偏らず、幅広い業界で事業を展開してリスクを回避させたいと守口社長。また、大阪府立大学と連携して品質を安定的に維持するための技術開発に取り組み始めています。


▲機械任せにしない人の手によるめっき加工も行ってる

▲工場全景

株式会社金澤鍍金工業所

代表者名代表取締役 守口 惠介
本社堺市西区築港新町2-6-20
TEL072-245-3824
設立1950年創業 1957年設立
資本金3,600万円
従業員数70名
事業内容自動車部品をはじめとする各種機械部品ならびに配管継手類などの表面処理加工
ホームページ http://www.kanazawa-plt.co.jp/

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