インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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万に一つも不良を見逃さない解析力 株式会社クオルテック 代表取締役 志方 廣一

不良品絶対ゼロの自動車業界で絶大の信頼を得て

 部品一つの不具合で大きな事故につながりかねない自動車製造業は、ものづくりの中でもとりわけ精度の高い品質が要求される産業領域です。加えて、昨今は環境基準も高くなっており、燃費をめぐる競争も激化。こうしたシビアな自動車産業を縁の下で支えているのが、(株)クオルテックです。
 志方廣一社長は、家電メーカーなどで品質改善や工法開発といった技術指導に携わったのちに、1993年に同社を設立。現在は、電子部品の不良解析や信頼性試験の受託のほか、新技術の開発や、品質管理・実装技術などに関するコンサルティングなど幅広い事業を展開しています。創業当初からの得意先は、大手ゲーム機メーカーや携帯電話メーカーで、なかでも携帯電話については、基盤の新たな製造方法の開発にも関わっていたのだとか。そして、12年前から自動車産業に進出。絶大なる信頼を得て、今では国内自動車メーカー全社と取引しています。
 「自動車業界は、1万個に一つでも不良品があってはならず、絶対ゼロの厳しすぎる世界です。だからこそ、競合が少なく、逆にチャンスだと考えました。しっかりとした技術でクリアすれば、高い信頼が得られるわけですから」と志方社長は語っています。


▲最表面数ナノメートルのレベルまで分析を行う「X線光電子分光器」。

最重要視するのは人材育成技術者の層の厚さが強み

 同社がとりわけ得意とするのは、分析評価です。10年間20万kmの走行にも耐えるだけの性能を確保するために、熱や振動、薬品、電圧、ノイズなど過酷な条件下での試験を繰り返し行う必要があり、これらの分析評価をトータルに実施できる企業は少ないといいます。さらにはそこで得られたデータに基づいて、素材や工法の提案まで行えるのが、クオルテックの強みと志方社長。
 また、近年注目されている電気自動車で重要なトランジスタ技術については、明確な規格も測定器もない中で、同社では評価のための測定器の設計から行っています。
 こうした他社の追随を許さない高い技術力を発揮できる一番の理由として、志方社長は最新設備を整えていることと人材育成を掲げました。「弊社には、表面処理や基盤、半導体と各分野で何十年と技術畑を歩いてきた60~70代の熟練技術者と、事業を推進する40~50代の技術者、そして実際の検査を担っている若手の3世代で役割を分担しています。こうした層の厚さが日本のものづくりの強さだと思うんですね。弊社では次代を担う若手技術者の育成を最も重視しており、この春に入社した社員も、研修として12部門を全て体験させています。課題を与えて実験をさせ、翌週に発表してもらうわけですが、きちんとできなかった場合は、指導者の上司が叱られます(笑)。『我々が製品の安全性や環境保全を支えている』という社員の意識の高さもまた、弊社の強みといえますね」。


▲電子部品の接合部の「結晶方位解析装置」。元素の状態までを解析することができる。

次代に向け注力するのは、AIやバイオテクノロジー

 かつて、高度経済成長期には"遊び"ともいえるさまざまな実験や試験を重ねていたことが、技術者の経験値を豊かにし、日本の技術力を高めてきたと考える志方社長。同社でも、暇があれば違う実験をさせ、経験を積ませることで技術力の向上を図っています。
 今後の展望については、「とりわけ自動車産業においてはグローバル競争が激化しており、製品開発のスピードアップが求められています。そうした中で、弊社が果たせる役割はより大きくなっており、今後は、個々に委託されている分析評価をシステム全体で任せてもらえるよう、お得意先企業との信頼関係をより強固にしていきたいですね」と志方社長。
 そして、自動車産業に続いて進出したい産業分野として掲げられたのは、有機ELやAI、そしてバイオテクノロジー。その一つとして、ユニークなところでは、"愛犬・愛猫のDNA検査サービス"がスタートしています。


▲X線透視装置(右)とX線CT装置。

株式会社クオルテック

代表者名代表取締役 志方 廣一
本社堺市堺区三宝町4-230
TEL072-226-7175
設立1993年設立
資本金8,500万円
従業員数150名
事業内容電子部品の不良解析・信頼性試験の受託および新技術の開発、品質管理を中心とした工場経営・実装技術に関するコンサルタント、レーザー加工・表面処理(めっき)技術を中心とした微細加工
ホームページ http://www.qualtec.co.jp/

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