インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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3価クロメートへの完全移行で、高い品質管理をアピール 髙良鍍金株式会社 髙良輝社長

単純なめっき加工への不安が高まって

単純な加工では海外に対抗できないという危機感を持って、第二創業に取り組んだのは、髙良鍍金株式会社の髙良輝社長です。
同社の創業は1949年。自転車部品へのめっき加工からのスタートでした。先代社長までは自転車部品と建築部材のワッシャーへのめっき加工が売上の約90%を占めていたといいます。
同社が自動車部品を手がけ始めたのは、約25年前。それまでニッケルクロムめっきと亜鉛めっきの2本立てで稼働していたのを、その少し前からニッケルクロムめっきを廃止し、亜鉛めっきに特化させていました。均一に薄い金属被膜を施すことのできる電気亜鉛めっきの主な用途は、自動車のエンジンまわりや足まわり、建築材料など水気を帯びる部品への防錆処理です。比較的安価なため、需要も広がっていましたが、髙良社長はめっき業界を眺めつつ将来性に不安を感じていたと話しています。

実用化前から3価クロメート処理に着目

「安価な電気亜鉛めっきは、不良が出ればやり直せばいいと、ただ量をさばいていました。しかし、そうしたシンプルなめっき加工は海外にシフトしていくことが予測できましたし、中にはめっき加工を内製化する部品メーカーも増加傾向にありました。めっき専業業者に未来があるのかと感じていた頃、専門家の先生に案内されて名古屋の優秀なめっき会社を見学させていただいたのです。先生の『亜鉛めっきも、品質を追求していけば必ず生き残っていける。これからは量より質の時代だ』という言葉とともに、将来の展望が一気に開けましたね」。
その時に髙良社長が着目したのは、まだ技術の確立していなかった3価クロメート処理。環境問題への意識の高まりから、EU諸国が塗料製品への規制を活発化させていたのに加え、自動車業界の品質要求も厳しさを増していました。髙良社長は、3価クロメート処理が試験段階の時から研究を重ね、実用化されるやいなや、6価クロメートからのシフトを図ったのです。


▲薬剤メーカーの協力のもと、同社オリジナルの3価クロメートの黄色を新開発(左上)。3価白との識別というニーズに応えているだけでなく、より耐食性を高めることに成功した。

より高品質をめざして、ノンクロムも視野に

「6価に比べて3価クロメートは、薬品の温度や濃度、金属の蓄積量などシビアな管理が求められます。それまで見た目のチェ ックでOKだったものが、厳密なデータ管理が必要となりました。さらに、自動車部品を多く手がけるようになると、お得意先の監査もたびたびあります。6価と3価を並行してやっていた時もありましたが、いわばこの2つは全く違う血液型を扱うのと同じ。誤って混入することがないように、売上構成比が逆転したタイミングを見極め、5年前に3価クロメートへ完全移行しました。莫大な設備投資を必要としたため、先代社長とはかなり激しくやりとりもしましたが、最終的には将来性を理解してくれました」。
3価クロメートへの完全移行は、数あるめっき専業企業の中でも断トツの早さ。もちろん、堺市内では初のことです。「売上の安定といった面で、6価クロメートをやめるリスクもありましたが、3価クロメートを求める品質に厳しいお客様についていこうと考えました。そこに、我々も生き残っていく道があるのだと信じたからです」と髙良社長。
この5年間の品質管理のノウハウを活かして、今春からISO9001への取得をめざして動き始めたところ。「3価クロメートはまだ途中経過にすぎず、すでにノンクロム処理を視野に入れて研究を進めています」。時代の先を見据えて進む底力を髙良鍍金に感じました。


▲「お客様に求められたデータや書類が即座に出せるだけでなく、求められる前に提出することも。かゆいところに手が届くような対応がお客様の信頼性を高めています」と語る髙良輝社長は、創業者から数えて3代目。


▲専用の「検査室」を工場内に併設。データの収集や工程の記録、テストなどを行っている。


▲データ管理のためのコンピュータソフトと生産ラインを連動させた「全自動電気亜鉛めっきライン」。
タッチパネル1枚での管理が可能になった。

髙良鍍金株式会社

代表者 代表取締役 髙良輝
本社 堺市堺区遠里小野町3-1-16
TEL 072-232-3265
設立 1949年12月
資本金 1,000万円
従業員数 12名
事業内容 鉄素材の部品などへの電気亜鉛めっき(3価クロメート)
ホームページ http://www.takara-plating.co.jp/

髙良鍍金株式会社

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