インタビュー ~ 堺の元気!企業紹介 ~

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自転車産業から新たな産業への多角化を図って 佐藤金属工業株式会社 佐藤隆幸社長

自社で金型製造ができる強みを活かして

堺市のものづくり企業の多くが、地場産業である自転車製造に関連して発展した歴史を持ちます。1948年創業の佐藤金属工業株式会社もまた、創業時より自転車のプレス部品をメインに製造販売してきた企業です。
現在も大手自転車部品メーカーの部品づくりを担っていますが、その割合は約3割。今やその倍近くの売上げを自動車部品が占めるようになっています。
「金型があって、プレス機があれば、プレス部品は作れます。何に使われるかは関係ないんですよ」と語る佐藤隆幸社長。しかし、より品質要求の高い自動車業界に参入できたのには理由がありました。まず、家電メーカーの多い関西では、薄物のプレス加工企業が多いなか、同社は自転車部品に多い4~6㎜の厚物のプレス用設備が整っていたことが挙げられます。
そして何よりも大きな強みとなったのは、プレス部品のための金型を自前で製造できる点でした。


▲鍛造順送加工で従来のプレス加工品にない三次元形状の製品を製造できるのが同社のアピールポイント。

厚物の鍛造順送加工に特化して差別化

「創業者である祖父がもともと金型職人だったので、弊社には金型作りのノウハウがありました。そのために、プレス加工が可能かどうか判断の難しい部品の試作も簡単に行うことができます。つまり、製品実現の見極めができるということですね。それは他社にはない強みです。最近では、お客様のコスト低減のために、現状の切削加工など他の加工からプレス加工にシフトするご提案もしています」と佐藤社長は語ります。
ところで、同社が現在、最も注力しているのは鍛造順送加工です。鍛造順送加工とは、一つの工程の中で穴あけや絞り、シゴキ、曲げといった複数の加工を組み合わせて、板厚の異なる三次元的な形状の部品をハイスピードで生産するプレス加工法で、これにより大幅なコストダウンが実現できるとか。
同社では、現在4台の鍛造順送加工機を稼働させて、厚物の鍛造順送加工というかなり狭い領域に事業を特化。競合他社との差別化を図ったことで、新たな顧客の獲得にもつながっているそうです。


▲「最近は、積極的に展示会にも製品を出品して、自社の技術をアピールしています」と語る佐藤隆幸社長は、祖父の代から数えて3代目。自転車のプレス部品製造に携わるなかで培った厚物の技術を積極的に自動車産業にも活かす。

厳しい品質管理体制も整えて

自動車業界などの他業界へ多角化を図るなかで、「お得意先からシビアな品質監査もあり、品質管理や社員教育もチェックされました。それまでと全く異なる仕事のやり方が求められたのです。
しかし、それに社員も一生懸命に取り組んだ結果、体制も整い、2005年にはISO9001も取得しました」と佐藤社長。今では機械メーカーから鍛造順送加工についての講師を依頼されるなど、社外からも高い評価を受けています。
「弊社が業界の多角化に成功したポイントは、自社の強みと弱みを見極めたことです。金型という〝知的集約物"を有して、一歩でも半歩でも先の加工技術に磨きをかける。それが日本のものづくり企業として生き残っていくための道ではないかと考えています」と、佐藤社長は熱く語っていました。


▲1993年の新社屋の完成と同時期に、1台の鍛造順送加工機を導入。現在は4台が稼働中。

佐藤金属工業株式会社

代表者 代表取締役社長 佐藤隆幸
本社 堺市堺区神南辺町5-152-5
TEL 072-227-7715(代)
設立 1948年1月創業 1974年7月法人設立
資本金 2,000万円
従業員数 20名
事業内容 自転車部品、自動車部品、民生用部品、建築用金具の金属部品などのプレス用自社金型の製造、プレス加工など。
ホームページ http://www.satokk.com/

佐藤金属工業株式会社

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